新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2011-01-01から1年間の記事一覧

鷹屋敷異聞

www.wisconsinhistory.org ウィスコンシン州ソークシティにあるダーレス家の邸宅である。通称を「鷹屋敷」といい、アーカムハウスの社屋を兼ねている。 レイ=ブラッドベリもこの屋敷を訪れたことがあり、気に入っていた。かのフランク=ロイド=ライトが建…

クトゥルー神話は二次創作か

クトゥルー神話作品をラヴクラフト作品の二次創作とみなす考え方にいまいち納得できない。その理由をうまく説明できなかったのだが、中川譲氏が興味深い指摘をしていた。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0],…

おいしいものが食べたい

幸いなことに、私は倹約生活の問題を科学と化さしめてしまいました。豆やスパゲッティの缶詰と箱入りのクッキーやクラッカーを買うことにより、私は毎週わずか1ドル75セントで済ませられるのです。 『クトゥルー神話全書』97ページ 自分の食費は1週間…

死は象の姿をして

ヒンドゥー教の象神ガネーシャがチャウグナール=ファウグンの化身だと言い出したのは誰なのだろうか。C.A.スミスは1934年6月16日付のラヴクラフト宛書簡で「ガネーシャ=チャウグナール」という言い方をしているが、小説においてはロバート=ブ…

チャルマーズの手紙

ピーター=キャノンに"The Letters of Halpin Chalmers"という短編がある。「ハルピン=チャルマーズの手紙」という題名から察しがつくように、フランク=ベルナップ=ロングの「ティンダロスの猟犬」の後日談だ。ヒポカンパス=プレスから刊行されたアンソ…

クトゥルー神話と二元論

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

ベンダル=ドラムの窖

ハオン=ドルはC.A.スミスの「七つの呪い」に脇役として登場した大魔道士だが、彼がラスボスを務めるクトゥルー神話TRPGのシナリオがある。"The Pits of Bendal-Dolum"という題名で、1986年にケイオシアムから刊行されたTerror From the Stars …

深淵の獣

ロバート=E=ハワードの"The Beast from the Abyss"というエッセイがウィキソースで無償公開されている。猫について書かれたもので、ラヴクラフトの「犬と猫」と一緒に読むと、彼らの見方の違いがよくわかって興味深い。 The Beast from the Abyss - Wikis…

ホーマーとラングレー

ホーマー=コリヤーとラングレー=コリヤーはマンハッタンの豪邸に住んでいた実在の兄弟である。彼らは何十年もゴミを収集しては屋敷の中に蓄え、噂の的になりながら引きこもりの暮らしを続けていた。兄弟が世を去ったとき、屋敷の中に積み上げられたゴミは…

マキルヴェインの星

一昨年にダーレスのHarrigan's File を紹介したが(参照)、その第1話である"McIlvaine's Star"がプロジェクト=グーテンベルクで無償公開されていることに気づいた。 The Project Gutenberg eBook of McIlvaine's Star, by August Derleth 1話だけ試し読…

ヴォルガ川の出来事

ダーレスとマーク=スコラーが合作した短編に"The River"というのがある。ウィアードテイルズの1927年2月号に掲載されたもので、ダーレスの最初期の作品ということになる。 ヴォルガ川にダムを建設するために英国から技師が呼ばれた。モスクワ大学の元…

長いナイフの夜

核戦争後の米国を舞台とする中編小説をフリッツ=ライバーが書いている。その題名は"The Night of the Long Knives"すなわち「長いナイフの夜」だ。長いナイフの夜といえば、一般にはヒトラーによるエルンスト=レームらナチス突撃隊幹部の粛清を指すが、こ…

レサンドロの使い魔

ロバート=E=ハワードがダーレスに宛てて書いた1936年5月9日付の手紙には、ダーレスの"Lesandro's Familiar"という短編への言及がある。 君の"Lesandro's Familiar"を大いに楽しませてもらいました。あれが一番いい作品で、他には取り柄のない号でし…

いじめられっ子ラヴクラフト

ラヴクラフトがダーレスに宛てて書いた1932年6月6日付の手紙から。 私の駄作「魔女の家の夢」に対する君の反応は予期しておりましたが──そこまでひどくはないだろうと自分では思っていたのです。題名がまずいというのには同意しますが、「ブラウン=ジ…

恋をかなえる秘呪法

ロバート=ブロックに"Philtre Tip"という短編がある。初出はRogue の1961年3月号で、邦訳はまだない。Mysteries of the Worm に収録されており、一応クトゥルー神話作品と見なしてよいだろう。

永き思い出

Long Memories は、ピーター=キャノンが晩年のフランク=ベルナップ=ロングとその奥さんの思い出を綴った本である。版元は英国幻想文学協会で、定価は5ポンドだ。70ページに満たない薄っぺらな小冊子なのに高いと思われるかもしれないが、クトゥルー神…

「暗黒の復活」余話

『真ク・リトル・リトル神話大系』の6巻にはフランク=ベルナップ=ロングの「暗黒の復活」が収録されている。海水浴場で若い未亡人と知り合った男が旧支配者の恐怖を垣間見るという話で、いささか締まりがないという印象を受けるのだが、最後の一段落はず…

ホームズの語られざる事件

コナン=ドイルの「オレンジの種五つ」の冒頭には「ウッファ島におけるグライス=パターソン一家の奇妙な冒険」への言及がある。シャーロック=ホームズが解決したらしいのだが、いかなる事件であったのかワトソンは語っていない。高名なSF作家であると同…

整形した異星人

C.A.スミスがラヴクラフトに宛てて書いた1930年10月24日付の手紙から。 ところで、ラヴクラフトさんの「闇に囁くもの」を読んで思いついたことがあるのですが、僕よりもあなたの方がうまく発展させられそうです。整形手術を受けて人間そっくりに…

ダーレスの娘が死去

アーカムハウスからクリスマスカードが来たのでアップするなり。(右下にあるのがApril Derlethたんのサインだ!ハアハア) 2003-12-25 - プヒプヒ日記 ダーレスの娘からのグリーティングカードとは羨ましい。アーカムハウスの本はいくらか持っているが、そ…

墓地を歩むもの

橋本輝幸氏(id:granit)のTwitterから。イアン・ワトスンのトリビア ・初めてクトゥルーものを書いたのは2010年 ・『オルガスマシン』が本国で出版されたのも2010年。それまではフランス語と日本語でしか読めなかったらしい。— T. Hashimoto (@biotit) 2011…

破壊の王

C.A.スミスがラヴクラフトに宛てて1931年8月の上旬に書いた手紙で、"The Master of Destruction"という小説の構想が披露されている。かつて太陽系にはアンタノクという惑星が存在したが、戦乱によって破壊されたという設定の作品だ。現在の小惑星帯…

ラヴクラフト的であるということ

ダーレスの作品を読んだラヴクラフトが「カトリックの登場人物の名前なのにフィネアスとアブナーは変でしょう。ピーターとかウィリアムにしておいたらいいのではないでしょうか?」と指摘したことがあった。すると「名前のひとつやふたつ、どうでもいいこと…

きっと50年後も

C.A.スミスがラヴクラフトに宛てて書いた1933年3月1日付の手紙から。 ライトに「魔女の家の夢」を使わせてやることにしたそうで、何よりです。あの作品が印刷されるのを、とても楽しみにしています。あなたがさらに100編ばかり書いてくれますよ…

クトゥルーよりも怖いもの

日本人はなぜクトゥルーを怖がらないのか : 族長の初夏 日本人にも怖いクトゥルー神話 私としては2番目の記事に賛成で、今さら付け加えることもないのだが、ラヴクラフトの名を不朽のものとするために生涯を捧げたダーレスの見解をついでに見ておこう。19…

まさか子孫がいたとは

『無名祭祀書』の著者フリードリヒ=フォン=ユンツトには子孫がいたそうだ。ラヴクラフトが1932年1月28日付のダーレス宛書簡でそのように述べている。 長らく封印されていたデュッセルドルフの屋根裏部屋でフォン=ユンツトの曾孫が先祖の遺稿を発見…

クトゥルーの子

C.A.スミスがドナルド=ワンドレイに宛てて書いた1936年11月17日付の手紙より。 君が気に入ってくれそうな新しい彫刻をいくつか制作したばかりです。どんな彫刻かといえば、醜怪な「腕のないヴィーナス」や、蛇のような2本の触手が眼と口の間か…

ローマ時代のアヴェロワーニュ

C.A.スミスとジェイムズ=ブランチ=キャベルの関係について、森瀬さんが記事を書いている。少し補足させていただこう。 竹岡氏がその場で調べてくれたところによると−−確かにスミスは書簡中で頻繁にキャベルに言及しているとのことです。これらの記述か…

ダーレスは敬虔なクリスチャンか

ラヴクラフトが無神論者だったことと、ダーレスがカトリックだったことは対比されがちである。だが、果たしてダーレスの信仰はどの程度まで篤いものだったのだろうか。 ならいつもクリスチャンの考え方を罵倒し今の世の中リベラルが主流であると論じていた貴…

ホームズのチェス

フリッツ=ライバーに"The Moriarty Gambit"という作品がある。1962年に発表された短編で、シャーロック=ホームズが若い頃モリアーティ教授とチェスで対戦していたという内容だ。The Game Is Afoot に収録されている。 ホームズがワトソンにチェスの駒…