新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「聖人アゼダラク」余話

C.A.スミスの「聖人アゼダラク」ではアゼダラクが姿を消したことが奇跡とされ、アヴェロワーニュの人々は彼を聖人に祭り上げたのだが、実際のところ彼はどこに行ってしまったのか。アゼダラクのその後を語った話をスミスは書こうとしており、構想だけが…

大司教の井戸

スティーヴン=ジョーンズが編纂したクトゥルー神話アンソロジーWeirder Shadows over Innsmouth にレジー=オリバーの"The Archbishop's Well"が収録されている。オリバーは英国の作家だが、日本ではほとんど注目されていないようだ。唯一、橋本輝幸氏が言…

永き最後の夜

"The Long Last Night"というクトゥルー神話小説をブライアン=ラムレイが2012年に発表している。クトゥルー復活後の世界を舞台にした話で、新しい邪神も登場する。その名前はBgg'haと綴るのだが、何と発音したらよろしきや。とりあえず「ブッガ」とカタ…

ブラッドベリをラヴクラフト・サークルに含めるかという問題

ダーレスがラムジー=キャンベルに宛てて書いた1966年4月21日付の手紙から。 今年の夏は西海岸に行く予定です。子供たちをディズニーランドに連れていくのですが、ブラッドベリ・ブロック・ライバーなど往時のラヴクラフト一門の面々にも会うつもりで…

『夢見る力』余話

コリン=ウィルソンがクトゥルー神話小説を書くようになったきっかけが『夢見る力』でラヴクラフトを酷評したことだったというのは有名な話だが、この本が刊行されたときにダーレスとラムジー=キャンベルの間で交わされたやりとりを見てみよう。キャンベル…

少年探偵団と深きもの

『インスマス年代記』はスティーヴン=ジョーンズが編纂したクトゥルー神話アンソロジーだが、好評を博したため続編としてWeird Shadows Over Innsmouth とWeirder Shadows over Innsmouth が刊行され、三部作になった。この三部作で皆勤賞を獲得したのがキ…

魚の話をもうひとつ

『インスマス年代記』にはキム=ニューマンの「大物」が収録されているが、その続編に当たる"Another Fish Story"をWeird Shadows Over Innsmouth で読むことができる。この話で狂言回しを勤めるのは、テムズ川の泥から生まれた魔人デレク=リーチだ。 時は…