新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

クトゥルーの子

 C.A.スミスがドナルド=ワンドレイに宛てて書いた1936年11月17日付の手紙より。

君が気に入ってくれそうな新しい彫刻をいくつか制作したばかりです。どんな彫刻かといえば、醜怪な「腕のないヴィーナス」や、蛇のような2本の触手が眼と口の間から生えている有蹄の怪物をかたどった大きめの像(高さが11インチあります)などです。片方の触手は怪物の胴体に巻きつき、垂れ下がった非対称な腹の膨れ上がった脇を4本指の手でつかんでいます。もう片方の触手は、右の蹄に乗せている手と一緒にだらんと垂らしています。僕はそいつに「クトゥルーの子」と名前をつけました。きっとラヴクラフトも喜んでくれることでしょう。

 というわけで、クトゥルーの落とし子をデザインした世界初の人物はたぶんスミスだ。なお、ラヴクラフトがフリッツ=ライバーに宛てて書いた1936年12月19日付の手紙に「スミスの作品のひとつが『クトゥルーの子』と題する高さ11インチの怪物であると聞いて誇らしい気持ちです」と書いてあるので(ただし、この部分はアーカムハウスの書簡集では割愛されている)、スミスの期待通り彼は喜んでいたようである。