新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

鷹屋敷異聞

www.wisconsinhistory.org
 ウィスコンシン州ソークシティにあるダーレス家の邸宅である。通称を「鷹屋敷」といい、アーカムハウスの社屋を兼ねている。
 レイ=ブラッドベリもこの屋敷を訪れたことがあり、気に入っていた。かのフランク=ロイド=ライトが建てた家だったからだ――とサム=ウェラーの『ブラッドベリ年代記』にある。しかしロバート=ワインバーグとともにアーカムハウスの編集長を務めるジョージ=A=バンダーバーグによると、鷹屋敷を設計したのはシカゴ出身の無名の建築家だったそうだ。
Travelling to Floridabatteredbox.wordpress.com
 なぜ自分に建てさせてくれなかったのかとライトがダーレスに訊ねると、ダーレスは次のように答えたという。

あなたが建てたら「ライトの家」になってしまうでしょう。私は「ダーレスの家」に住みたいのでね。

 ライトの偉大さを認めつつ、自分の意志を押し通すダーレスらしい受け答えだ。また、ライトはダーレスの屋敷を「牛小屋」と呼んだことがあるという逸話をホフマン=プライスがBook of the Dead で紹介しているが、その時ダーレスは次のように言い返したそうだ。

そうとも。だから牛が住むのさ……。

 自らを牛になぞらえて見せたわけで、これまたダーレスの面目躍如といった感がある。鷹屋敷を設計したのがライトなのか別人なのか私には突き止めることができなかったが、いずれが真実であるにせよ、ダーレスとライトが親しい間柄であったことは間違いなさそうだ。

2011年7月13日追記

 Walden West を読み返したところ、自分の屋敷を設計してくれたのはレオ=ワイセンボーンという建築家だとダーレスは述べていた。ライトが手がけたというのは何かの間違いだろう。