2011-01-01から1年間の記事一覧
1934年5月の下旬か6月の上旬にロバート=E=ハワードが書いたラヴクラフト宛の手紙より。 ええ、プライスが遊びに来てくれたので本当に楽しかったです。たったひとつだけ残念だったのは、彼がもっと長居できなかったことです。そう、これまでに僕が会…
ラヴクラフト&ダーレスの『暗黒の儀式』の第3部でセネカ=ラファム博士が助手のウィンフィールド=フィリップスに語る言葉はトーマス=クーンの『科学革命の構造』を先取りしたものだったとロバート=プライスが指摘している。 Seneca Lapham on Scientifi…
東京創元社から『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』が刊行された。これでC.A.スミスのアヴェロワーニュ伝説がすべて日本に紹介されたといいたいところだが、邦訳された「アヴェロワーニュの獣」は実は短縮版である。 本来の「アヴェロワーニュの獣」はボイド…
かなり久々に弊サイト「大凡々屋」を更新した。 あなたの戸口に このブログでも半年ほど前に取り上げたAt Your Door の詳しい紹介である。ご笑覧いただければ幸いだ。
マッシモ=スマレさんの"Appointment at the Oji Inari Shrine"という掌編を読んだ。非常にすてきな話なので、内容を紹介させていただく。
クリスマス向けの話ということで、ドナルド=R=バールソンの"Christmas Carrion"を紹介させていただく。Dead But Dreaming 2 に収録されている短編で、舞台となっているのはラヴクラフトの創造したキングスポート。そこに住んでいる怪老人が主役だ。 怪老…
ラヴクラフトがダーレスに宛てて書いた1935年10月6日付の手紙より。 ライトが"Death Holds the Post"を採用しますように。ウィアードテイルズは確かに落ち目です――9月号と来たら「ヴルトゥーム」以外はろくな作品がありませんでした。 "Death Holds …
ダンセイニはその作品よりは、(私のような愛読者からすれば、残念なことだと言わざるをえないが)その影響力によってよく知られている作家である。もっともよく知られているのはラヴクラフトへの影響であろう。 ラヴクラフトにおけるダンセイニの影響 - 未…
かつて『シャーロック・ホームズ・イレギュラーズ』という本のためにキム=ニューマンへのインタビュー記事を翻訳したことがある。『ドラキュラ紀元』を書いたとき、自分はモーリス=ルブランの作品をまったく読んだことがなかったとニューマンは語っていた…
ロバート=ブロックに"It's a Small World"という短編がある。 クライドはおもちゃ屋で働く青年。ある冬の日、身長が7フィートもある不気味な男がおもちゃ屋にやってくる。サイモン=マロットと名乗る大男は三輪車を注文するが、商品を梱包するため奥の部屋…
アーカムハウスのラヴクラフト書簡集第4巻には1932年4月4日付のC.A.スミス宛書簡が収録されているが、その冒頭にはヨス=トラゴンへの言及がある。 Yoth-Tlaggon ―at the Crimson Spring Hour of the Amorphous Reflection この"Crimson Spring"…
「1万ドルで地獄に行きませんか?」 ロバート=ブロックに"Hell on Earth"という中編がある。ウィアードテイルズの1942年3月号に掲載された作品だが、長らく単行本未収録だった。もちろん未訳だ。 語り手は作家。ロックリン研究所に勤めているフィリッ…
まずい寿司を私が食わされたというわけではなく、これはシェリー=プリーストのクトゥルー神話小説の題名だ。The Book of Cthulhu に収録されており、原題は"Bad Sushi"という。 主人公は米国の寿司屋で働く日本人の板前。78歳で、かつて日本軍の兵士とし…
かつてデルタグリーン概説を書いたとき、エミール=ファースト中佐のことを紹介しそびれた。 ファーストは米陸軍の退役中佐である。デルタグリーンのM細胞に所属する隊員でもあり、コードネームはマシューという。ウガンダでグラーキに遭遇して発狂寸前まで…
『三国志演義』の第119回、姜維が自刃する場面で、彼を悼む詩が流れる。 天水誇英俊 涼州産異才 系従尚父出 術奉武侯来 尚父とは太公望のことである。姜維は太公望の末裔だと述べているわけだ。非常に胡散臭いが、『新唐書』の宰相世系表にもそう記されて…
クリス=ハローチャ=アーンストのA Bibliography of the Cthulhu Mythos (参照)には、ダーレスとマーク=スコラーの"In the Left Wing"という合作が記載されている。ウィアードテイルズの1932年6月号に掲載された短編なのだが、これはいかなる話なの…
残念ながらこの本には、すべてのクトゥルフ神話作品の完全なリストを掲載するだけのスペースはない。そのようなものを求めるならば、クリス・ハローチャ=アーンストの『Bibliography of the Cthulhu Mythos』が良いだろう。同書をコピーしたものはインター…
C.A.スミスの創造した魔術師のなかで一番強いのは誰かという話題。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id …
ロバート=E=ハワードが1930年12月頃に書いたラヴクラフト宛の手紙より。 僕の祖父であるアーヴィン大佐がかつて所有していた広大な地所は、いまではダラスの一部として繁栄しています。夜鷹さえいなければ、彼も町と一緒に富み栄えていったのかもし…
ニューイングランドにあるクトゥルー神話ゆかりの地といえばアーカムやダニッチが有名だが、他にはミスティバレーがある。これはナンシー=A=コリンズが創造した架空の町で、ミスカトニック川流域にあるということになっているらしい。コリンズにいわせれ…
エディ=C=バーティンといえば、シアエガを世に送り出した"Darkness, My Name Is"で有名なクトゥルー神話作家だが(参照)、他にも"Dunwich Dreams, Dunwich Screams"という神話短編を書いている。"Darkness, My Name Is"もそうだが、題名がかっこいい。 "…
ラヴクラフトがC.A.スミスに宛てて書いた1932年4月4日付の手紙は最後の一段落のみがアーカムハウスの書簡集に収録されているが、手紙の現物を持っているカリフォルニア大学デイヴィス校のマイケル=セーラー教授が残りの部分を公開してくれた。 雪…
ロバート=E=ハワードが1934年7月頃に書いたラヴクラフト宛の手紙。ホフマン=プライスが遊びに来たことを報告している。 プライスが来てくれて、たいへん楽しかったことはすでにお知らせしたとおりです。彼がもっと長く滞在できなかったことだけが心…
ロバート=E=ハワードが1934年5月に書いたラヴクラフト宛の手紙から。 プロヴィデンスにお送りした小包に入っているのは、猛毒のある大型の蜘蛛でして、当地ではサソリモドキと呼ばれています(誤称だろうと思いますが)。僕は標本制作の素人なので、…
ロンドンといっても英国の首都ではなく、小説家ジャック=ロンドンのことだ。 ラヴクラフトがロバート=E=ハワードに宛てて書いた1933年1月21日付の手紙から。 私の友人ジェイムズ=F=モートンは――いまはニュージャージー州パターソンの市立博物…
ラヴクラフトが酒を飲まなかったというのは有名で、飲酒の害を戒めるために"Old Bugs"なる短編を書いたりしている(参照)。一方ダーレスはどうだったのか。Remembering Derleth によると、彼の好みは以下の通りだったそうだ。 ブランデー・アレクサンダー …
ラヴクラフトが魚介類を嫌っていたというのは有名な話だが、ダーレスはどうだったのか。Remembering Derleth によると、彼はサーモンとシュリンプカクテルが好物だったそうだ。またウィスコンシンは大きな川や湖に恵まれているので、ダーレスも魚釣りをよく…
イースの大いなる種族といえば精神交換である。これは標的の肉体を一方的に乗っ取る技だが、使う際に危険が伴ったりはしないのだろうか。"The Curious Case of Miss Violet Stone"によると、大いなる種族の精神が宿主の肉体に入りこんだまま出られなくなるこ…
ウムル=アト=タウィルはいまいち正体が定かでないが(参照)、リン=カーターによると彼はヨグ=ソトースの侍従長である。カーターがアブドゥル=アルハザードに仮託して書いた『ネクロノミコン』の第3巻第12章から抜粋してみる。 忘れ去られし悠久の太…
リン=カーターがアブドゥル=アルハザードに仮託して書いた『ネクロノミコン』第1巻第9章より。 ひげを生やした族長の口から私がついに聞き出したのは、その部族が無名のものどもと呼ばれている理由、そして彼らが祖国から放逐された理由であった。なぜな…