新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

それでもユゴスは惑星である

ラヴクラフトは15歳の時にサイエンティフィック=アメリカンへの投書で未発見の太陽系第9惑星のことを論じており、この惑星は後にユゴスと呼ばれることになった──というトリビアを『クトゥルー神話ダークナビゲーション』で披露したことがある。その途端…

カメレオンの街

キングスポートを舞台にした小説をカール=ジャコビが書いている。"Chameleon Town"という短編で、1975年にアーカムハウスから刊行されたアンソロジーNameless Places に収録されている。郵便チェスを通じて知り合った5人がチェックメイツと名乗り、自…

星間宇宙の大帝

『萌え萌えクトゥルー神話事典』の執筆を手伝ったとき、ハスターの称号を「星間宇宙の大帝」とした。これはダーレスの「破風の窓」に出てくる"Lord of the Interstellar Spaces"を和訳したもので、『クトゥルー』の1巻に収録されている大瀧啓裕訳では「星間…

ダーレス賞制定の理由

英国幻想文学協会は、シャーロキアンとしてのダーレスの功績を記念して、彼の死の翌年である1972年にオーガスト・ダーレス賞を制定した。 wikipedia:オーガスト・ダーレス ウィキペディアに何が書いてあっても驚かないが、これはひどい。ダーレスといえばソ…

クトゥルー新世紀

SFマガジン2010年5月号の特集「クトゥルー新世紀」で短編小説ひとつの翻訳と概説の執筆をやらせていただきました。S-Fマガジン 2010年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/03/25メディア: 雑誌購入: 4人 クリック: 74回この商品を含…

ファットフェイス

Cthulhu 2000 に収録されている作品のうち、未訳のままになっているもののひとつがマイクル=シェイの"Fat Face"だ。そして、この短編でシェイが新たに創造した怪物がショゴスロードである。優れた知能と高度な変身能力を備え、人間に化けて社会に紛れこむこ…

クトゥルー2000

売れ行きも好調のようでなにより。 品切れになる前に購入することをおすすめしますぞ。 【TRPG】 「クトゥルフ2010」好評発売中です: ひきだしの中身blog 『クトゥルフ2010』の売れ行きが好調とは喜ばしい限りだが、この題名を聞いたときは「『クトゥル…

実は三つ子だったウェイトリー兄弟

クトゥルー神話の珍説のひとつに「『ダニッチの怪』のウィルバー=ウェイトリーには不可視の怪物以外の兄弟がいた」というものがある。W.H.パグマイアとロバート=M=プライスの合作である"The Tree-House"という短編で唱えられている説だ。 "The Tree-…

ヴァスタリエン

"Saucers From Yaddith"の粗筋を確認するためにThe New Lovecraft Circle を本棚から引っ張り出してきたのだが、このアンソロジーに収録されている他の作品もついでに紹介させていただこう。トーマス=リゴッティの"Vastarien"である。 ヴァスタリエンという…

ヤディスの円盤

寺田旅雨さん(id:servitors)のツイートから。くとぅったー……。俺得すぎました。 @DHKNSは『夜中の校舎でアルハザードのランプを汚してしまい、事件に巻き込まれ、アフーム=ザーによって体の中と外を反転され、狂気と苦痛の中、鮮明に意識を保たされてしま…

『クトゥルーの世界』休刊

ダニエル=ハームズのブログによると、ペガサス=シュピールがWorlds of Cthulhu の休刊を決定したそうだ。*1 Worlds of Cthulhu については赤虫療養所に解説があるので参照されたい(このページの8月8日付の記事)。すばらしいクトゥルー神話TRPG専門…

羽目板張りの部屋

ピーター=ストラウブの編集したAmerican Fantastic Tales にはダーレスの"The Panelled Room"が収録されているらしい。*1この短編を選ぶとは、さすがストラウブだ。 リディアとイルマの姉妹が引っ越してきた屋敷は祟られているという噂だった。50年前、ピ…

机の中の女たち

引き続きフリッツ=ライバーの未訳作品の話である。The Ghost Light に収録されている9編のうち、まだ邦訳のない3編のひとつが"A Deskful of Girls"だ。1959年度のヒューゴー賞候補作である。 語り手はカー=マッケイという事件屋。スター俳優のジェフ…

幽霊灯

The Ghost Light という作品集をフリッツ=ライバーは1984年に出している。九つの短編(そのうち三つが未訳)と自伝が収録されており、かなり分量のある本だ。九つの物語のモチーフとなっている「もの」を彫刻家のジョエレン=トリリングが実際に製作し…