新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

裁かるるジャンヌ

クラーク=アシュトン=スミスがダーレスに宛てて書いた1934年7月22日付の手紙より。 僕はおよそ映画の愛好家ではないのですが、ジャンヌ=ダルクの映画は観てみたいですね。映画を鑑賞した夜はいつも眼精疲労から来る頭痛に悩まされるのですが、そう…

「戸口に現れたもの」余話

1933年8月に「戸口に現れたもの」を完成させたラヴクラフトは清書稿を友達に送って意見を求めた。同年12月4日付の手紙でクラーク=アシュトン=スミスは次のように述べている。 エドワード=ダービーのキャラクターはよく書けていますよ。ひとつ非常…

落ち着きのない水死体

ラヴクラフトがドナルド=ワンドレイに宛てて書いた1936年12月20日付の手紙より。 近ごろ君の作品が雑誌に載っているとのこと、興味深く思います。"Uneasy Lie the Drowned"に眼を光らせておくことにいたしましょう。いかにも期待できそうな題名です…

ジェンディックの沼

ジョゼフ=ペイン=ブレナンに"Jendick's Swamp"という短編がある。 語り手はカークという作家。保安官のクリス=ケリントンが立ち寄ったので、冷えたリンゴ果汁でもてなしているところだ。しばらく世間話をしてからクリスは訊ねた。 「ジェンディック家のこ…

血染めの神の跡

スプレイグ=ディ=キャンプの「血ぬられた神像」はロバート=E=ハワードの作品を改変して主役をコナンに置き換えたものだ。元々の話は"The Trail of the Blood-Stained God"という題名で、一昨日と昨日の記事で紹介した"The Treasures of Tartary"と"Swor…

シャハラザルの剣

昨日の記事で紹介した"The Treasures of Tartary"には続編がある。"Swords of Shahrazar"といって、初出はトップノッチ=マガジンの1934年10月号だ。"The Treasures of Tartary"が掲載されたのはスリリング=アドベンチャーズの1935年1月号なので…

韃靼の黄金

昨日までエル=ボラクのシリーズを紹介していたが、アフガニスタンを舞台にした作品をロバート=E=ハワードは他にも書いている。"The Treasures of Tartary"はスリリング=アドベンチャーズの1935年1月号を初出とし、現在はウィキソースで原文が公開…

白狼の息子

ここしばらくエル=ボラクの話をしてきたが、今日が最後になる。ロバート=E=ハワードの"Son of the White Wolf"はスリリング=アドベンチャーズの1936年12月号を初出とし、現在は原文がウィキソースやプロジェクト=グーテンベルク=オーストラリア…

三尖の災厄

スプレイグ=ディ=キャンプは1955年に「焔の短剣」を発表したが、これはロバート=E=ハワードの"Three-Bladed Doom"を書き直して主役をコナンに差し替えた作品だ。では元々の主人公は誰だったのかというと、エル=ボラクことフランシス=ゼイヴィア=…

イスカンダルの失われた谷

ロバート=E=ハワードの"The Lost Valley of Iskander"がウィキソースで無料公開されている。発表されたのは1974年なのだが、それでも公有に帰しているらしい。 en.wikisource.org この作品はまたの題名を"The Lost Valley of Iskander"といって、エル…

ナイフの国

ロバート=E=ハワードに"Country of the Knife"という短編がある。これまたエル=ボラクが主役だが、コンプリート=ストーリーズの1936年8月号が初出なので、ハワードの死の直後に発表された作品ということになる。現在は公有に帰しているらしく、原…

神々の血

トップノッチ誌の1935年6月号にロバート=E=ハワードの"Hawk of the Hills"が掲載されたと昨日の記事で申し上げたが、その翌月には同じシリーズの"Blood of The Gods"が載り、2号連続で同誌の表紙を飾ることになった。この作品も現在はウィキソース…

丘陵の鷹

昨日に続いてエル=ボラクの話をする。ロバート=E=ハワードの"Hawk of the Hills"はトップノッチ誌の1935年6月号に掲載され、その号の表紙を飾った。現在は原文がウィキソースで無料公開されている。 en.wikisource.org エル=ボラクことフランシス…

好漢エル=ボラク

ロバート=E=ハワードが1935年5月頃に書いたラヴクラフト宛の手紙から。 「永劫より」はとてもおもしろかったです。ラヴクラフトさんのお名前も作者として出したほうがよかったですね。だって徹頭徹尾あなたの作品なのですから。今年の夏にはいくらか…