魚の好きな人、嫌いな人
ラヴクラフトが魚介類を嫌っていたというのは有名な話だが、ダーレスはどうだったのか。Remembering Derleth によると、彼はサーモンとシュリンプカクテルが好物だったそうだ。またウィスコンシンは大きな川や湖に恵まれているので、ダーレスも魚釣りをよくしたという。
ダーレスの晩年の代表作であるReturn to Walden West によると、フィッシュ湖・クリスタル湖という二つの湖がダーレスの家の近くにあり、彼はそこでしばしば釣りを楽しんだそうだ。少し引用してみる。
子供の頃、二つのうち浅い方のクリスタル湖へ釣りをしにいった――もっとも時々クリスタル湖は氷結してしまい、地元民の言葉を借りれば人間を「追い出す」のだった。そこで釣りをするにはボートが必要だった。岸辺の水は浅すぎて、産卵期の魚しかいなかったのだ。湖の西端にアール=ショップが何隻もボートを持ちこんでおり――当時、静謐な水を乱すモーターボートは一隻もなかった――村の釣人に安く貸し出してくれた。時折、私は父と一緒に――そして後には同年輩の友達と一緒に出かけて――釣りをした。クリスタル湖は主にブルーギルやサンフィッシュやバスでいっぱいで、私たちはアール=ショップのボートで釣りをしながら何時間ものんびりと楽しく過ごした。どんなに日射しが暑くても、あるいは天気が荒れ模様でも、欲しいだけの魚を手に入れずに帰ることは滅多になかった。
我が国では評判のよろしくないブルーギルやバスも、向こうでは普通に食用とするらしい。もっとも「ダーレスは魚を釣るのは得意だったが、さばくのは苦手だった」とドロシー=M=グローブ=リタースキーのダーレス伝には書いてある。