新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

俺たちに明日はない

 1934年5月の下旬か6月の上旬にロバート=E=ハワードが書いたラヴクラフト宛の手紙より。

ええ、プライスが遊びに来てくれたので本当に楽しかったです。たったひとつだけ残念だったのは、彼がもっと長居できなかったことです。そう、これまでに僕が会ったウィアードテイルズの作家はプライスだけなのです――それどころか、僕が顔を合わせたことのあるプロの作家は彼だけです。
(中略)
ところで、銃を持った男たちがレッドリバーの渡し場でプライスを呼び止めたんですよ。その人たちは名高い無法者クライド=バロウを捜しているところでした。当時、彼はその界隈で稼業に励んでいたのです。プライスにいってやったのですが、彼の潔白を証明するものが自動車に積んであったのは幸いでした。何しろバロウはプライスと背格好が似ていますし、プライスと同じように金髪の若い女性を連れていたからです。つまりボニー=パーカーです。新聞でお読みになったかもしれませんが、クライドがルイジアナでテキサスレンジャーに仕留められたとき、ボニーも彼と一緒でした。機関銃の弾がクライドを引き裂き、ボニーを貫き、車内は血や脳味噌やバロウの頭蓋骨の破片にまみれたといいます。この無法者たちの自動車に降り注いだ銃弾は167発に上りました。

 ホフマン=プライスがクライド=バロウと間違われそうになったという話である。ボニーとクライドが射殺されたのは1934年5月23日。ラヴクラフトやハワードが彼らの同時代人であったことを強く感じさせる逸話だ。

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