ラヴクラフトへの贈物
ロバート=E=ハワードが1934年5月に書いたラヴクラフト宛の手紙から。
プロヴィデンスにお送りした小包に入っているのは、猛毒のある大型の蜘蛛でして、当地ではサソリモドキと呼ばれています(誤称だろうと思いますが)。僕は標本制作の素人なので、道中でばらばらになってしまわないよう祈るばかりです。この蜘蛛は裏庭に住み着いていました。バスルームの窓のすぐ外です。僕はそいつの巣穴に気づいて水を注ぎこみ、出てきたところを捕まえてガソリンで窒息死させました。そしてアルコールを満たした瓶に死骸を入れて密封したのです。ラヴクラフトさんの珍品コレクションに追加していただけるようでしたら幸甚に存じます。機会があり次第、タランチュラを捕まえて差し上げましょう。当地ではタランチュラの数が以前よりずっと減ってしまいました。僕が子供の頃はバッタほどにもありふれた存在だったのです。もしかしたら、他の害虫と一緒にタランチュラも戻ってくるかもしれません。つい先日の晩、町の商業区から1ブロック程度しか離れていないところでアルマジロに出くわしました。
サソリモドキはそれほど強い毒は持っていないので、ハワードのいったとおり別種の蜘蛛だったのだろうとS.T.ヨシらは指摘している。ハワードから蜘蛛を受け取ったラヴクラフトがどんな顔をしたのかは残念ながら不明だ。