ラヴクラフトは15歳の時にサイエンティフィック=アメリカンへの投書で未発見の太陽系第9惑星のことを論じており、この惑星は後にユゴスと呼ばれることになった──というトリビアを『クトゥルー神話ダークナビゲーション』で披露したことがある。その途端に冥王星が惑星から外されることになってしまい、しくじったと思ったものだ。
ところでユゴスというのは冥王星ではなく、その彼方にある巨大惑星のことだという説を唱えた作家がいる。リチャード=A=ルポフだ。彼のクトゥルー神話小説"The Discovery of the Ghooric Zone"や"Documents in the Case of Elizabeth Akeley"によると、ユゴスは冥王星の向こうに存在し、木星のように巨大な惑星だそうだ。
"The Discovery of the Ghooric Zone"は、ラヴクラフトの死からちょうど400年後の2337年3月15日に、3人のサイボーグを乗せた宇宙船がユゴスの衛星に着陸するという話だ。太陽系辺境の荘厳な暗黒世界をルポフは圧倒的な筆力で見事に描き出している。ちなみに"Documents in the Case of Elizabeth Akeley"の方は「闇に囁くもの」のヘンリー=エイクリーが星の世界から帰ってくるという話だが、これはこれで楽しめる。
ユゴスには惑星であってほしいと思う人にはルポフ説の支持をお勧めする。"The Discovery of the Ghooric Zone"はTales of the Cthulhu Mythos の新版に収録されているが、Infinity Plusで読むこともできる。*1
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