新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

あなたも共犯者

 ケイオシアムが一向に原稿料を支払ってくれないとゲイリー=サンプターがYog-Sothoth.comで不満をぶちまけたことがある。
An Open Letter To Chaosium - Cthulhu General - Yog-Sothoth
 すると「俺も払ってもらってないよ」「俺も俺も」と名乗りを上げるクリエイターたち。スコット=デイヴィッド=アニオロフスキやキース=ハーバーなど豪華な顔ぶれだ。中でもダニエル=ハームズはかなり頭に来ていたらしく、ケイオシアムの実態を知りながら看過しているファンを強い口調で批判している。

 必ずしも全員がケイオシアムに嫌な思いをさせられたというつもりはありません。ですが、ケイオシアムとの関係に不満がないという人は一度だけしか仕事をしていないか、あるいはケイオシアムに特別扱いしてもらえるような事情があるのではないかという気がしてなりません。そうではないという人がいたら教えてください。
 いま僕が腹を立てている人たちの名前を他にも挙げさせてもらいましょう。
 あなたですよ。そう、このフォーラムを見ている人のほとんどが僕の敵なんです。
 あなたはこんな話を何度も聞いています。それでもケイオシアムの製品を買っている。ケイオシアムのために仕事をしている。ケイオシアムの製品を売るのに協力し、自分の店に並べたりコンベンションを開催したりして宣伝している。それ自体は悪いことではありません。優れたゲームですし、その魅力は僕にもわかっています。
 重要なのは、こういう話を聞いてケイオシアムへの態度を改めたという人が一人もいないことです。前とまったく同じことをしている人たちばかりです。遺憾の念を表明する書簡をケイオシアムに送った人すらいないのです。
 ゲームを愛している人がどんなに多いかという話を僕はずっと聞いています。愉快な時間を過ごせた、新しい友達ができた、人との絆が強まったという話を聞いています。ですが愉快な時間、新しい友達、強固な絆が生じるのを可能にした人間が不当な扱いを受けても、行動を起こしてくれた人は誰もいません。ケイオシアムはその過程で貢献していますし、僕もそのことは否定しません。ですが他の人たちだって貢献したのです──キースやスコットやゲイリーや僕のような人間が、そして他にも多くの人たちが。
 あなたがこのスレッドを読んだなら、どのような方針で行動するのが適切かを詳しい情報に基づいて判断できるはずです。あなたがそのように行動しないならば、不正であると自分が認めた状況を改善するためにできることをしないならば、過去に人々を傷つけた状況の存続を手伝っていることになります。そして、その状況は将来も人々を傷つけていくことでしょう。
 自分のにゲームをもたらしてくれた人間を侮辱するようなことをしているのに、そのゲームを本当に愛しているなどと主張できるんでしょうか?

 私もケイオシアムの製品をいくらか持っているが、ごめんなさい許してくださいとしか言いようがない。捨て置けない自体だと判断したフォーラムの管理者はこのスレッドを凍結してしまったが、やむを得ない措置だろう。そのときから10年近い歳月が経ち、クトゥルー神話TRPGを取り巻く状況も変わったはずだが、ハームズたちが表明した怒りは歴史的資料として今も残されているというわけだ。
 ちなみにアーカムハウスはどうなのかというと、同社のために編集の仕事をしたときのことをベイジル=コッパーが次のように回想している。

 その仕事をしたのはダーレスへの尊敬の念ゆえであり、私は報酬を受け取る気など毛頭なかった。だが報酬は支払われるべきだとアーカムハウス側は主張し、とうとう私は受け取らなければならなかった。それがアーカムハウスの流儀である。