新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

インスマスで視聴率40%

 C.J.ヘンダーソンに"A Forty Share in Innsmouth"というクトゥルー神話作品がある。ブライアン=ラムレイを顕彰するアンソロジーSingers of Strange Songs のために書き下ろされた作品で、ラムレイの"The Kiss of Bugg-Shash"の後日談だ。
 バグ=シャースはラムレイの創造した旧支配者。"The Kiss of Bugg-Shash"で姿を見せるが、ダニエル=ハームズによると名前の初出は「盗まれた眼」だそうだ。呪文によって招喚され、明るいところにいる限り無害なのだが、暗くなったとたんに生贄を求めて人間を攻撃する。イブ=ツトゥルの従兄弟であり、ともにヨグ=ソトースに仕えている。
 "A Forty Share in Innsmouth"は、テレビ番組でバグ=シャースを招喚しようとする話。危険すぎるという反対意見を押し切って撮影は強行され、テレビを見ている人間すべてのもとにバグ=シャースの分身が現れた。しかし視聴者の数はあまりにも多かったのでバグ=シャースの力はひどく希薄になり、ついには消散してしまったのだった。
 クロウ・サーガ完結編で描かれている旧支配者のエリシア総攻撃にはバグ=シャースも参加していませんでしたっけと突っこみを入れたくなるが、視聴率を稼ぐことに血道を上げるテレビ局のほうが邪神よりも怖いという話だ。なおヘンダーソンは7月4日に亡くなったとのこと。死因は癌、62歳だった。*1冥福を祈る。