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主にクトゥルー神話のことなど。

アーカムハウスの元編集長が死去

 ピーター=ルーバーが3月6日に亡くなったそうだ。ジョージ=バンダーバーグが追悼文を書いている。
R.I.P. Peter Ruber (1940-2014) | The Batteredbox's Weblog
 ルーバーはジェイムズ=ターナーの後釜としてアーカムハウスの編集長を務めた人物。若い頃はキャンドルライト=プレスで働いており、ダーレスの本の出版を手がけたこともあったという。
 ルーバーはとにかくダーレスのことを尊敬していたのだが、その行き過ぎが問題視されることもあった。彼が編集したArkham's Masters of Horror は端的な例として知られている。アマゾンのレビューを見てみよう。

ルーバーの文章には二つの目的がある。他の作家を中傷することと、聖者のごときダーレスの理解力と優しさを強調することだ。ロバート=E=ハワードは自殺願望のあるマザコンの異常者、C.A.スミスは友人の厚意にすがって生きる怠け者、ヘンリー=ラッセル=ウェイクフィールドは粗野で好色な飲んだくれといった話がひたすら続くのだ。比較的まともなレイ=ブラッドベリですら、がめつく狡猾な男として描かれている。ほとんどの作家は、ダーレスにつきまとって金を無心する手紙を長々と引用され、その人格の最悪の部分を暴き立てられている。

Arkham's Masters of Horror: A 60th Anniversary Anthology Retrospective of the First 30 Years of Arkham House: Arkham House, Ruber, Peter A.: 9780870541773: Amazon.com: Books

 つまり、ルーバーはダーレスを持ち上げたいがために他の作家を貶めることがあったというのだ。ただし、この本が刊行されてから十数年がすでに経っているが、ルーバーの記述に虚偽が含まれているという指摘は見たことがない。彼は事実関係においては誤っておらず、問題視されているのは書き方であるということだろう。
 ダーレスを深く敬愛し、彼の名誉を守るために戦い続けた(そして、その情熱が変な方向に行ってしまうこともたまにあった)ルーバー。私は彼のことが割と好きだ。冥福を祈る。