新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

ラヴクラフトの描いたクトゥルーの絵

 ラヴクラフトその人が描いたクトゥルーの絵がウィキメディア=コモンズで公開されている。

To R.H. Barlow, Esq., whose Sculpture hath given Immortality to this trivial Design of his oblig'd XXXX Servant.

ファイル:Cthulhu sketch by Lovecraft.jpg - Wikipedia

 絵の下にはラヴクラフトの直筆で上記のように書き添えてあるが、XXXXの部分が何であるのかについては意見が分かれる模様。"of all"と読む人もいるが、"obdt"(obedientの省略形)であると解釈する人もおり、意味が通っているのは後者のほうであるように思われる。コツさえつかんでしまえばラヴクラフトの手紙は楽に読み解けたとフリッツ=ライバーは回想しているが、やはり読みづらい字ではないのだろうか。
 それはさておき、この絵がロバート=バーロウに贈られたものであることがラヴクラフトの添え書きから読み取れる。ラヴクラフトの描いた絵を基にバーロウがクトゥルーの像を制作したので、感謝したラヴクラフトがバーロウに絵を与えたというわけだ。1934年5月11日付となっているが、ラヴクラフトは同年の5月2日から6月21日にかけてバーロウの家に滞在していた。ラヴクラフトが旅先からダーレスに送った1934年5月19日付の手紙には、バーロウの才能はダーレス君に匹敵するかもしれないと書いてあり、ラヴクラフトがバーロウを非常に高く評価していたことが窺える。