新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

神々の系譜事始

 ダーレスがロバート=バーロウに宛てて書いた1934年6月15日付の手紙から。

君の表はおもしろいですね。ロイガーとツァールはクトゥルー・ハスター・ヨグ=ソトースの兄弟であると私は考えていました。もうひとつ注目していただきたいのは、この神話大系はラヴクラフトその人の承認と支持を得た上で、ストレンジテイルズの1933年1月号に掲載された我が作品「風に乗りて歩むもの」において使用されているという事実です。

 バーロウがダーレスに送った「表」が何だったのかは定かでないが、旧支配者の血縁関係もしくはヒエラルキーについて記述したものであったことは想像に難くない。実際、同じ1934年にC.A.スミスがバーロウと交わした手紙では、ナイアーラトテップとイホウンデーが夫婦であるという説が披露されている。
 バーロウといえば、ラヴクラフトの友人たちの中でもとりわけ宇宙的感覚を極めた人物とされている。しかし逆に考えれば、宇宙的恐怖の真髄を知っていたからこそ、クトゥルー神話を遊戯の素材と見なして割り切ることができたのかもしれない。