新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

『ネクロノミコン』とダンセイニ

 未谷おとさんid:pegana)が曰く――

 この「サッパナルのソロボン」のことは以前うしとらさんから教えてもらったのだが、実はブラウン大学図書館のサイトで無償公開されている。便利な世の中になったものだ。
http://dl.lib.brown.edu/pdfs/115989957947267.pdf
 どこかの宮廷で王が廃位され、奴隷だったものが新しい王になるという光景を描写した短い戯曲だ。どの辺が『ネクロノミコン』を思い出させるのかは判然としない。ダンセイニ卿が翻訳したと書いてあるのだが、原作者の名前は不明である。また第7幕だけが抜粋されており、第1幕から6幕までは翻訳された形跡が見当たらないなど、かなり不思議な感じのする作品だ。
 「サッパナルのソロボン」は実際には翻訳ではなくダンセイニ自身の創作なのかもしれないと私は勘ぐっている。敢えて翻訳と称したのは「古より伝わる不吉な知識」を演出するためであり、その技法がラヴクラフトの『ネクロノミコン』の使い方と相通じているとダンセイニはいいたかったのではないか。そう考えれば筋が通るように思われるのだが、定かではない。未谷さんたちの研究が待たれる。