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主にクトゥルー神話のことなど。

無視されたライバー

eFanzines.com - Earl Kemp: e*I* Vol. 8 No. 1
 ジェラルド=W=ペイジがリン=カーターについて語っている。「リン=カーターという矛盾」なる題名からわかるようにカーターの長短両面を指摘しているのだが、興味深い逸話がおしまいに披露されている。
 1970年代後半の世界ファンタジー大会での出来事である。晩餐会の時、司会者が出席者を一人ずつ紹介していったが、無視された人もいた。その時カーターが立ち上がり、無名の若手ながら非常に才能豊かな作家がいるので是非とも紹介させてほしいと発言した。司会者が許可すると、カーターが紹介したのは彼の隣に座っていたフリッツ=ライバーだったという。
 ライバーが「無名の若手」であるはずがないのでペイジの記憶違いだろうと思ったのだが、みづせゆうさん(id:miskatonic)によると、これはむしろカーターの機知の表れと解すべきではないかとのことだ。なお1970年代後半の世界ファンタジー大会で司会者を務めた人物は以下の通りである。*1

年度 司会者 備考
1975年 ゲイアン=ウィルソン
1976年 ゲイアン=ウィルソン
1977年 ゲイアン=ウィルソン
1978年 アンドルー=J=オファット この年はライバーが主賓
1979年 チャールズ=L=グラント

 いくら何でも主賓を紹介し忘れることはないだろうから、1978年は除外してよい。したがって、ライバーを無視した司会者はウィルソンかグラントのどちらかということになる。さすがにライバーを知らなかったわけではないだろうが、後ろの方にひっそりと座っていたので気づかなかったということか。