新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

ブロックの臨終

 ロバート=ブロックは1994年9月23日に亡くなったが、当時のことをラムジー=キャンベルが振り返っている。

ボブ=ブロックと僕の共通の知り合いから聞いたのですが、自分の死期が迫っていることを知ったボブは、どうか訪ねてきてほしい(住んでいるのが遠方なら電話してほしい)と友達に頼んだそうです。そこで僕はボブに電話し、30分ばかりお喋りをしました。彼は、僕がいつも知っていたのと変わらず愉快な人でした。

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「死ぬときはボブのようにありたい」とキャンベルは語っているが、この時ブロックを見舞った人々の中にはフォレスト=J=アッカーマンもいた。死の床にあるブロックにアッカーマンはサインをねだり、彼の末期癌の苦しみをますますひどいものにしたとハーラン=エリスンは2007年4月25日と26日に回想している*1。C.A.スミスの研究家として有名なスコット=コナーズによると、「これが私の人生最後のサインである」と『サイコ』の初版本に直筆で書いてほしいとアッカーマンはブロックに頼んだそうだ*2。ブロックの奥さんは怒りのあまり、アッカーマンがブロックの葬儀に参列するのを許そうとしなかったという。
 そのアッカーマンも晩年は不遇だった。2002年9月8日付のロサンゼルス=タイムズの記事*3が伝えるところによると、Famous Monsters of Filmland の権利を巡ってレイ=フェリーと裁判で争ったのが原因である。アッカーマンは裁判には勝ったものの、フェリーが偽装破産で対抗したために一文も賠償金を取れず、巨額の訴訟費用を払えずに屋敷とコレクションを売る羽目になってしまった。かくして借家住まいを余儀なくされたアッカーマンも2008年に世を去ったが、今頃はあの世でブロックにサインをねだっているのだろうか。