新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

ダーレスとスタージョン

 Someone in the Darkはダーレスの怪奇短編集であり、1932年から41年にかけて彼が発表した作品の中で特に優れた16編が収録されている。元々はアーカムハウスから刊行されたのだが、これは今や数百ないし1000ドルの値がついているので、私にはちょっと手が出ない。仕方がないので、1970年代に他の出版社から出たペーパーバック版を買うことにした。
 だが廉価版のペーパーバックにもいいところはあった。ダーレスを「現実の裏側まで見通す比類なき眼を備えた怪奇文学界最大の傑物」と讃えるシオドア=スタージョンの推薦文がついているのだ。一方、ダーレスは自分の怪奇小説を「再読に耐えうるものは1割程度に過ぎないだろう」と冷ややかに評価していた。つまり90%は屑ということなのだが、だからスタージョンが推薦文の執筆者なのだろうかと私は勘ぐることしきりであった。