新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ラヴクラフトと喧嘩別れした作家

ヒュー=B=ケイヴはラヴクラフトと文通していたと前回の記事で述べたが、実はケイヴもラヴクラフトと同じくロードアイランド州に住んでいた。彼は全米創作ギルドのロードアイランド支部長を務めており、ラヴクラフトに勧誘の手紙を書いたことがきっかけと…

アルハザードの第二の書

Song of Cthulhu という本がケイオシアムから刊行されている。音楽をテーマにしたクトゥルー神話アンソロジーだが、これに参加している作家のうち最年長なのがヒュー=B=ケイヴ。単に長老であるのみならず、ラヴクラフトと文通したこともある作家だ。 ケイ…

ラヴクラフトとヒトラー

ラヴクラフトはヒトラーの『我が闘争』を読んで感激したという話がある。モーリス=レヴィのLovecraft: A Study in the Fantastic によれば、これはソニア=グリーンの証言が出所だそうだ。だが『我が闘争』の英訳版が刊行されたのはラヴクラフトがグリーン…

非弾性衝突

エリザベス=ベアは「ショゴス開花」でヒューゴー賞を受賞したが、彼女には"Inelastic Collisions"というクトゥルー神話作品もある。 グレッチェンとタマラの姉妹がプールバーでビリヤードをしているところから物語は始まる。二人ともスレンダーな美女の姿を…

モーテルの殺人

http://www.trident.ne.jp/j/ ナイトランドの無期休刊は残念な出来事だったが、必ず将来につながる成果が残ったと思う。バーラス・スラッター・ミークルといった作家を我が国の読者に知らしめたことは同誌の功績のひとつだろう。 ブライアン=M=サモンズも…

ジョン=ギブソンなる人物の陳述

前回の記事でロバート=プライスの"The Strange Fate of Alonzo Typer"を紹介したが、ブライアン=ラムレイも「アロンソ=タイパーの日記」の後日談を書いている。ウィリアム=ラムレイの作品の続きをブライアン=ラムレイが書いたことになるが、二人のラム…

アロンソ=タイパーの奇妙な運命

昨日に続いてロバート=プライスのクトゥルー神話小説の話。昨日は「インスマスを覆う影」のスピンオフだったが、今度は「アロンソ=タイパーの日記」の続編である。題名を"The Strange Fate of Alonzo Typer"という。 "The Strange Fate of Alonzo Typer"で…

ザドック=アレンの転生

ロバート=プライスに"The Transition of Zadok Allen"という短編がある。題名からわかるようにラヴクラフトの「インスマスを覆う影」のスピンオフで、酔いどれの老人ザドック=アレンの運命が語られている。 1930年の秋、イプスウィッチの漁師の網に金…