新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

ふたなり神シュブ=ニグラス

 新年あけましておめでとうございます。
 2015年は未年ということで、羊と縁がある旧支配者はいないかと探してみたところ、シュブ=ニグラスに「千の雌羊を連れし雄羊」なる異称があった。すなわち今年はシュブ=ニグラスの年ということにしておこう。
 しかし考えてみると、ラヴクラフト自身はこの称号を使っていない。言葉自体の初出はC.A.スミスの「聖人アゼダラク」なのだが、スミスもシュブ=ニグラスとの関連性を明示することはなかった。「千の雌羊を連れし雄羊」がシュブ=ニグラスを指しているという説を最初に唱えたのは誰なのかというと、ダーレスがラムジー=キャンベルに宛てて書いた1961年12月23日付の手紙に次のような記述がある。

シュブ=ニグラスが「千の仔を連れし山羊、千の雌羊を連れし雄羊」などと呼ばれるのは両性具有を示すものです。

 というわけで、どうやらダーレスが言い出したことのようだ。なお「千の雌羊を連れし雄羊」という称号はブライアン=ラムレイのクトゥルー神話作品でも使われているが、ラムレイもダーレスから同じ話を聞かされたことがあるのかもしれない。

追記

 ハスターがそもそも「羊飼いの神」であったことに後で気づかされた。*1夫婦揃って羊と縁があることになる。