書き直したり、書き直さなかったり
ホフマン=プライスがBook of the Dead で次のような逸話を紹介している――ダーレスがウィアードテイルズに送った作品を編集長のファーンズワース=ライトが突っ返した。するとダーレスは原稿をしばらく寝かせておき、まったく同じものを何食わぬ顔で提出して、今度は受理させたのだという。
当時のパルプ作家にとって、原稿の書き直しを編集部から要求されることは日常茶飯事だったらしい。C.A.スミスは「アヴェロワーニュの獣」を*1、ロバート=E=ハワードは「アッシュールバニパルの焔」を*2書き直している。もっともヒューゴー=ガーンズバックは勝手に話を書き換えることがあったそうだから*3、ライトは作家に要求するだけマシな部類かもしれない。
書き直すのが嫌なら、ラヴクラフトのように原稿をしまいこむしかなかった。そのような状況にあって、ダーレスの逸話は作家たちに快哉を叫ばせるものだったのだろう。もっともプライスはライト編集長に同情的で、そう彼のことをバカにするものではないと述べている。
Book of the Dead: Friends of Yesteryear : Fictioneers & Others (Memories of the Pulp Fiction Era)
- 作者: E. Hoffmann Price,Peter A. Ruber,Jack Williamson
- 出版社/メーカー: Arkham House Pub
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: ハードカバー
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