新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

暇な時間などない

 晩年のラヴクラフトと親しかったロバート=バーロウが次のように回想している。

私が暇潰しの種を探していると、ラヴクラフトは困惑したものだった。彼は暇を潰さなければならなかったことなど一度もなく、片づけるべき仕事にいつも追われているからというのだった!

 ラヴクラフトは手紙を書く以外にすることもないだろうし、さぞかし暇な毎日だったに違いないと私は決めつけていたのだが、本人はそうは思っていなかったようだ。
 バーロウは文才と画才を兼ね備えているほかにチェス・テニス・射撃・ピアノなどが得意で、「これほどまでに才能豊かな子は見たことがない」とラヴクラフトは驚嘆している。後にカリフォルニア大学バークレー校を卒業して人類学者となり、メシカ文化の研究において先駆的な業績を上げたが、ラヴクラフトと付き合っていた十代半ばの頃は学校にも行かず、隣家まで5キロもある家でひたすら怪奇小説を読んでいたという。