新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

デクスター博士

イギリスの情報機関から流出した文書によると、諜報員の一人が20年ほどあとに南太平洋の某所でデクスターを殺害したという。
『エンサイクロペディア・クトゥルフ』179ページ

 ラヴクラフトの「闇をさまようもの」そしてロバート=ブロックの「尖塔の影」に登場したアンブローズ=デクスター博士が英国の情報部員に殺害されたという『エンサイクロペディア・クトゥルフ』の記述が何を典拠にしているのかといえば、ルウェリン=カボスが1982年にセミプロ誌で発表した短編"Dr. Dexter"である。この作品は現在エドワード=P=バーグランドのサイトで無償公開されている。*1
 魔星ジンダラクが到来している最中の1973年12月28日、デクスター博士はルルイエでクトゥルーを復活させようとしたが、英国の情報部員ジョン=ブレイクに阻まれて失敗し、命を落とした。この際に英米が行ったルルイエ攻撃は空母1隻、戦艦2隻、潜水艦1隻が参加するという大規模なものだった。なお魔星ジンダラクというのはコホウテク彗星のことである。
 何だか、邪神対007という趣のある話だ。ケイオシアムから刊行されたUnseen Masters で描かれているデクスター博士の末路もカボスの小説に準拠したものになっているが、もしかしてCoCの公式設定という扱いなのだろうか。