新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

キウンとサクテ

 星間宇宙の大帝ハスターの配下といえば、ロイガーを筆頭とする風の諸神が有名だが、比較的マイナーな〈夜の王〉サクテをここでは紹介してみたい。サクテはそもそも旧約聖書の「アモス書」で言及されている存在である。

イスラエルの家よ。あなたがたは、荒野にいた四十年の間に、ほふられた獣とささげ物とを私にささげたことがあったか。
あなたがたはあなたがたの王サクテと、あなたがたのために造った星の神、キウンの像をかついでいた。
私はあなたがたを、ダマスコのかなたへ捕え移す。

 神様はかくの如くイスラエルの民に語ったそうだが、リチャード=L=ティアニーの短編「星神の種子」(The Seed of the Star-God)によるとキウンはハスターの化身であり、サクテはハスターに仕える魔神である。「星神の種子」はケイオシアムのShub-Niggurath CycleScroll of Thoth に収録されているが、ケヴィン=オブライエンのサイトで読むこともできる。*1
 サクテは1000年ごとに地球上に現れ、人類に災厄をもたらす。「星神の種子」ではサクテはローマ皇帝ティベリウスの側近になりすまし、ハスターが隕石の形で地球に送り込んだ己の種子をシュブ=ニグラスのもとに送り届けようとしたが、若き日のシモン=マグスの活躍によって阻止された。だがサクテは滅んではいない。1000年に一度という周期が現在も守られているとすれば、サクテが次に舞い戻ってくるのは2031年である。

Shub Niggurath Cycle (Call of Cthulhu Fiction)

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Scroll of Thoth: Tales of Simon Magus & the Great Old Ones

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