円柱都市アイレム
An H. P. Lovecraft Encyclopedia によると、ラヴクラフトはアイレムのことをブリタニカ大百科で知ったらしい。
「無名都市」がもっぱら夢から着想を得た作品であることをHPLは認めている。そして彼がその夢を見るきっかけとなったのは、ダンセイニの「驚異の書」にある暗示的な言葉「音ひとつない奈落の闇」(「三人の文士に降りかかった有り得べき冒険」の最後の一文)だった。より具体的な源泉となったのは、HPLが持っていたブリタニカ大百科第9版の「アラビア」の項だった。この項目の一部、なかんずく「円柱都市アイレム……アードの最後の暴君シャッダードがハドラマウト地方に建設したとされている。アラブ人の伝説によると、その住人が滅んだ後もアイレムは完全な形で残り、常人の眼には見えないが、幸運な旅人によって稀に目撃されることがあるという」という記述をHPLは備忘録に書き写している。
第9版ではなく第10版だが、ブリタニカ大百科の「アラビア」の項はネット上で無償公開されている。
Arabia - History. Pre-Islamic Arabia, to the 7th Century AD.
なるほど、アイレムへの言及が確かにある。
An H. P. Lovecraft Encyclopedia
- 作者: S. T. Joshi,David E. Schultz
- 出版社/メーカー: Hippocampus Pr
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: ペーパーバック
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