変な励まし方をするラヴクラフト
ウィアードテイルズの1927年1月号にはラヴクラフトの「レッドフックの恐怖」とダーレスの"The Night Rider"が掲載されている。前者は今さら説明する必要もないだろうが、後者は中世イタリアを舞台にした掌編で、騎馬武者姿の息子が夜中に家の前を走りすぎるのを父親が目撃するという話だ。翌日、息子が戦死したという報せが父親のもとにもたらされたのだった……。この作品にラヴクラフトは1926年11月26日付のダーレス宛書簡で言及している。
私の「レッドフック」と一緒に載ったら"The Night Rider"が見劣りするのではないかだなんて、そんな心配は無用ですよ。「レッドフック」は私が書いた中でも最低の駄作のひとつです。ウィアードテイルズに載せることを意識して書いたものですから、私の美意識からは程遠い安っぽさと粗雑な三文芝居の雰囲気に汚染されているのです。
ずいぶん変な励まし方をしたものだ。だが、若い友人を思いやるラヴクラフトの心情は感じ取れる。