新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

友達の前で裸になる男

 サム=モスコウィッツの随筆で紹介されている話。ダーレスの奥さんだったサンドラ=カイザーが息子のウォールデンに語ったことだそうだ。

ダーレスは裸の時でもかまわず、窓から人々に「お入りなさい」と大声で呼びかけるものだから彼女は肝を冷やしたのだという。ある時など、ダーレスと彼女がまだベッドで寝ているのに、エドガー=リー=マスターズ夫妻とフランク=ロイド=ライト夫妻が部屋に入ってきたそうだ。

 呼ぶほうも呼ぶほうなら、入ってくるほうも入ってくるほうだ。ダーレスの傍若無人な性格が表れているが、ここでマスターズの名前が出てくるのは信憑性に欠ける。ダーレスとサンドラが結婚したのは1953年のことだが、マスターズは1950年に他界しているからだ。
 一方、ライトに関しては大いにありそうなことだと思う。御存じの方も多いだろうが、ライトは近代建築の巨匠として名高い人物。我が国でも帝国ホテルなどを設計している。この世界的な建築家とクトゥルー界の総帥は親しい間柄で、ダーレスの屋敷を設計できなかったことをライトが残念がったという逸話が残っている。*1
 ところでダーレスはラヴクラフトとは会えずじまいだったが、もしも対面することができていたら彼の前でも裸でうろついたのだろうか。いささか気になるところだ。

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