「ナイトランド」創刊の報に接したとき、思い浮かべたのが「デルタグリーン」だった。というのも、私に「デルタグリーン」のことを教えてくれたのが「ナイトランド」代表のエドワード＝リプセットさんだからだ。
もう何年も前のことである。当時は関連書籍の入手も容易ではなかったのだが、リプセットさんが私に本を貸してくれた。一通り読み終えた私は個人的な覚書のつもりで概説を書くことにし、それがいま私のウェブサイトにある記事だ。もしもリプセットさんと知り合っていなければ、私のサイトはだいぶ貧相なものになっていたか、あるいは存在すらしていなかっただろう。さらにいえば、私が『クトゥルー神話全書』を翻訳したり、ＳＦマガジンのクトゥルー神話特集で記事を書くこともなかったかもしれない。
そのリプセットさんが「ナイトランド」を創刊するという。彼のことだから、きっと我が国のクトゥルー神話ファンを大いに刺激してくれるに違いない。かつて私がそうであったように、自分で何かをやってみる気になる読者もいるだろうと期待している。
