新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

とある英語の改革案

 人称代名詞における非対称性という問題が英語にはあるそうだ。
user.keio.ac.jp
 性別が定かでない人物についてもheが用いられるのは不適切なので、三人称単数の共性代名詞を新たに作ろうという試みが古くより繰り返されてきた。その歴史の記録をイリノイ大学のサイトで読むことができる。
linguistlist.org
 1934年、パターソン博物館のジェイムズ=F=モートンがheeshを提案したとH.L.メンケンが記しているそうだ。このモートンラヴクラフトの親友として知られる人物で、「クトゥルーの呼び声」にカメオ出演していたりする。*1人種差別撤廃のために戦うなど非常にラディカルな人だったそうだが、こんなことにまでかかわっていたとは知らなかった。
 モートンこそは「ラヴクラフト・サークル」の良心と呼ぶべき人物だろう。もっともラヴクラフトモートンの社会派ぶりに引いてしまうことがあったようで、1915年11月25日付のラインハート=クライナー宛書簡で「モートンがああなってしまったのは、ハーバード大学で勉強しすぎたからに違いありません」と述べている。