新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

スミス、ダーレス、ブラッドベリ

 作家になることをレイ=ブラッドベリが志したのはC.A.スミスの作品を読んだことがきっかけだったという。A Rendezvous in Averoigne の序文でブラッドベリは当時のことを次のように振り返っている。

11歳か12歳の頃のことを振り返ると、私は2編の小説を思い出す。ひとつは「歌う焔の都」で、もうひとつは「小惑星の支配者」だ。どちらもクラーク=アシュトン=スミスの作品で、作家になると私が7年生の時に決心したのはその2編が最大の理由だった。

 ブラッドベリが24歳の時、彼の最初の単行本Dark Carnivalアーカムハウスから刊行された。ブラッドベリはNPRの番組でダーレスへの思いを語ったことがある。

僕はオーガスト=ダーレスに感謝しています。ダーレスは僕の人生を変え、僕に希望をくれた人ですから。当時の僕は無能なオタク野郎でした。随筆も書けなければ戯曲も書けず、長編小説を書くこともできませんでした。僕には何も書けやしなかったんです。ダーレスが励ましてくれたので僕は成長していき、より良い作品が書けるようになりました。まさに天恵でした。

Arkham House: Home to Horror, Sci-Fi Writers : NPR

 言うなればブラッドベリはスミスから夢を受け取り、ダーレスから勇気を授かったのだ。「ラヴクラフト・サークル」という豊かな土壌の上に、ブラッドベリという大輪の花が咲いた。そのことだけでも「ラヴクラフト・サークル」の存在には意義があったといえるだろう。

A Rendezvous in Averoigne: The Best Fantastic Tales of Clark Ashton Smith

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