新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

オンライン墓参り

 Find a Graveというウェブサイトがある。
www.findagrave.com
 墓地のデータベースであり、ラヴクラフトと愉快な仲間たちのお墓を見ることができる。オンライン献花も可能だが、検索機能はさほど強力ではないようだ。たとえばダンセイニで検索しても有名な18代目しか出てこない。実は19代目と20代目も登録されているのだが、彼らを見つけるにはプランケットで検索する必要がある。
 墓といったが、より厳密には埋葬場所のデータベースだ。「ラヴクラフト・サークル」の関係者には墓がない人も結構いるが、彼らも登録されている。

クラーク=アシュトン=スミス

 遺体は荼毘に付され、生家の西にある森に散骨された。墓碑はない。スミスが貧乏だったのは有名な話だが、Arkham's Masters of Horrorによると奥さんにはそれなりの財産と定収があり、彼は割と安楽な晩年を送れたそうだ。したがって墓を作る余裕すらなかったということではないだろうと思うのだが……。
www.findagrave.com
 リンク先に掲載されているのは墓ではなく、カリフォルニア州オーバーンのバイセンテニアル公園にある記念碑の写真だ。2003年に建立されたものだという。

フリッツ=ライバー

 アーカムハウスの作家たちの中でもレイ=ブラッドベリと並び、ラヴクラフトとスミスに次ぐほど高い評価をダーレスから得ていた人なのだが、墓はない。Resting Places: The Burial Sites of More Than 14,000 Famous Personsなる本の第3版によるとライバーの遺灰のうち4分の1はサンフランシスコの自宅に、残る4分の3はテキサス州ヒューストンの縁者に送られたそうだ。

 息子のジャスティン=ライバーはヒューストン大学の教授(哲学専攻)だったので、縁者というのは彼のことだろう。
www.findagrave.com
 埋葬は行われたらしいのだが、その場所は「カリフォルニア州の某所」となっている。これでは聖地巡礼もできないが、何か思うところがあったのだろうか。

ロバート=バーロウ

 ラヴクラフトの遺著管理者だった人。将来を嘱望された麒麟児でありながら悲劇的な最期を遂げたことで知られるが、その遺灰は母親と兄に引き渡されたそうだ。
www.findagrave.com
 フロリダの生家の裏手にある湖に散骨されたのだろうと書いてあり、その湖の写真も掲載されている。少年時代のバーロウがラヴクラフトと一緒に遊んだ湖なのだが、この情報は誤りだ。The Search for the Codex Cardonaなどでは彼の遺灰はメキシコのデシエルト=デ=ロス=レオネス国立公園に埋められたことになっており、こちらが正しい。

アルジャーノン=ブラックウッド

 イングランドで亡くなってから数週間後、甥が遺灰をスイスに持っていった。40年の長きにわたって彼が愛し続けたアルプスに散骨されたとマイク=アシュリーのブラックウッド伝にあり、Find a Graveの記述もこれに沿ったものとなっている。
www.findagrave.com
 散骨の場所がザーネンメサー峠だったことは記録に残っているので、欲を言えば写真をつけてほしい。代わりにウィキメディア=コモンズへのリンクを張っておく。
en.wikipedia.org
 これはあまり終の憩いの場という感じがしない。ブラックウッドはまた新たな素晴らしき冒険に旅立っていったとアシュリーも彼の現世での物語を締めくくっている。