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主にクトゥルー神話のことなど。

関羽と孫悟空

武成王廟 脇侍の変遷 - 思いて学ばざれば
 いろいろと興味深いのだが、宋の太祖が関羽を武成王廟の合祀から外させたというのが特に印象的だ。関羽といえども、常に崇敬されていたわけではないということか。
 神様になった関羽は『西遊記』にも端役で出演している。天界を訪問した孫悟空を関・温・馬・趙の四大元帥が出迎える場面が何度かあるが、このうち関元帥というのは関羽のことだ。関羽に対する封号の中に元帥は見当たらないと岩波文庫版『西遊記』の訳注にあるが、これは朝廷が公式に贈った封号に限定した場合の話であり、民間信仰における関羽は普通に元帥神だった。この辺のことは二階堂善弘先生のサイトが詳しい。

ところで、現在のような絶大な信仰が形成されたのは、実は清代になってからのことだと思います。

http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~nikaido/essay1005.html

 『西遊記』では関羽が悟空にお辞儀をするなど下手に出ているが、『西遊記』が明代に成立した小説であることを考えると納得がいく。関羽の神としての地位は清代に著しく上昇して帝君さらには大帝となったが、明代にはそこまで偉くなかったので斉天大聖より格下だったのだ。宋代の武成王廟における関羽の扱いもそうだが、神様の待遇も時代につれて移り変わるのだと感じさせてくれる話である。