中でも笑ったのは、僕が唯物論者だからサヨクだという主張。「唯物論者=サヨクだというのは常識」なんだそうだ。
http://homepage3.nifty.com/hirorin/dema.htm
ほー、それじゃあラヴクラフトもサヨクだったんだ(笑)。 知らなかったよ。
唯物論者がすべて左翼かどうかはさておき、晩年のラヴクラフトがすぐれて左翼的だったのは事実だと思う。
社会主義の時代がやってくる
ラヴクラフトがロバート=バーロウに宛てて書いた1937年1月27日付の書簡*1より。
遅かれ早かれ危機に見舞われる業界もあるでしょう──私企業の所有者たちは現状のもとで経営を続けていくのを拒もうとしています──人民の法律が強いている一定賃金の保障や労働時間の制限や計画生産などのことです。そのような条件下では利益を上げることなど不可能だと彼らは主張するでしょうし、その主張は正しいのかもしれません。さて──良識ある状態がいったん達成されれば、その状態からの逆行に人民が味方したがるなどと誰が考えるでしょうか? 人民は資本家の泣き言に耳を傾け、産業の統制を緩和するでしょうか? しませんよ。さっさとくたばれと人民は資本家に告げ、もはや私的な利益のためには経営されなくなった企業を公営のものとするでしょう。かくして、改良資本主義を経て徐々に社会主義が実現するのです。
もっとも晩年のラヴクラフトが革新派に転向したのはフランクリン=ルーズヴェルトに対する個人崇拝によるところが大きく、ラヴクラフトは本質的にはずっと君主制に憧れる人だったのではないかという気がしないでもない。だとしたら、ラヴクラフトにとってのルーズヴェルトは一種の哲人皇帝だったのだろう。
*1:Selected Letters 1934-1937およびO FORTUNATE FLORIDIANに収録されている。