ダーレスがラヴクラフトに捧げた挽歌がブラウン大学図書館の公式サイトで無償公開されている。初出はRiverという文芸誌で、その後1944年にアーカムハウスから刊行されたMarginaliaに収録された。
Brown Digital Repository | Item | bdr:421445
ブラウン大学図書館の見解によると、米国ではもう公有に帰しているらしい。ダーレスは権利をしっかり主張する人だったはずだが、この詩だけは完全に損得勘定抜きで書いたということだろうか。
この詩がRiverに掲載された経緯についてはインディアナ州立大学名誉教授のリチャード=デール=ミューレンがScience Fiction Studiesの19巻1号で回想しており、デポー大学の公式サイトで読むことができる。「以前はラヴクラフトの怪奇小説を愛読していたが、恐怖を真に描写するのではなく形容詞を多用しているだけの紛い物だと気づいて幻滅した」とミューレンが述べたところ、ダーレスから長文の反論が来たというのが微笑ましい。
ともあれ米本国において公有なのであれば、日本語に翻訳しても大丈夫だろう。というわけで素人の蛮勇をふるい、僭越ながら訳してみた。
田園の春の情景から始めて彼方のプロヴィデンスに思いを馳せ、人の世の無常と思い出の不滅であることを謳っている。よい詩だと思う。だが、中島みゆきの歌う「春なのに」を私はなぜか連想するのだった。
- アーティスト:中島みゆき
- 発売日: 2018/05/02
- メディア: CD