新・凡々ブログ

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戦争中のワンドレイ

 ドナルド=ワンドレイといえばラヴクラフトの親友であり、ダーレスとともにアーカムハウスを創設した同志である。ワンドレイこそがラヴクラフトの後継者にふさわしいとフリッツ=ライバーは考えていたという。*1しかし第二次世界大戦が始まるとワンドレイは出征していき、アーカムハウスの経営はダーレス一人が担うことになった。では、その間ワンドレイはどこで何をしていたのか。
 ウィスコンシン州立歴史協会がダーレス関連の文書を所蔵しているように、ミネソタ州立歴史協会はワンドレイ関連の文書を保管している。*2それによると、ワンドレイは米陸軍の第65歩兵師団に所属していたそうだ。「戦斧」の通称で知られる師団である。この師団は1945年1月にフランスのル=アーヴルに上陸し、ジークフリート線を突破してラインを渡河、東方から進撃してきたソビエト軍と合流している。その戦いにワンドレイも参加していたことになる。彼は第三帝国強制収容所の解放戦にも加わっていたとスコット=コナーズが述べているが*3これはおそらくフロッセンビュルク強制収容所のことだろう。
 ワンドレイは最終的には上級曹長まで昇進し、陸軍を名誉除隊した。けだし立派な軍歴というべきだろう。