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ゴル=ゴロス余話

バル=サゴスの神々 - 凡々ブログ
 "The Gods of Bal-Sagoth"に登場する邪神ゴル=ゴロスとクトゥルー神話大系の関わりについて論じる記事をロバート=プライスが書いている。"Gol-Goroth, A Forgotten Old One"という題名で、初出はCrypt of Cthulhu の第3号(1982年聖燭節号)、現在はネットで読むこともできる。
Gol-Goroth, A Forgotten Old One
 のっけから「リン=カーターは『クトゥルー神話の神神』にゴル=ゴロスを載せていない。無視されたゴル=ゴロス様がお怒りじゃあ」みたいなことが書いてあるが、その先は至って真っ当だ。「黒の碑」「暗黒の民」「闇の種族」「屋上の怪物」に"The Gods of Bal-Sagoth"を加えた5編は互いに関連していると指摘し、ゴル=ゴロスなる神の実体に迫っていくという内容である。ナイアーラトテップが多くの化身を持つように、ゴル=ゴロスも様々な姿で顕現する旧支配者なのだろうというのがプライス博士の見解だ。一方で、ゴル=ゴロス自体がツァトゥグアの化身なのではないかという可能性については、ハワードが「暗黒の民」でツァトゥグアとゴル=ゴロスの名前を並べていることから、これを否定している。
 ところで『マレウス・モンストロルム』のゴル=ゴロスの項目で「黒の碑」の一節が引用されていることからもわかるように、「黒の碑」に出てくる魔物をゴル=ゴロスと見なすのがクトゥルー神話TRPGでは一般的である。どうせケイオシアムの独自設定か、さもなければカーターが言い出したのだろうと思っていたのだが、"Gol-Goroth, A Forgotten Old One"を読むに、実はプライス博士が最初に唱えた説だったようだ。1980年代の初頭、カーターが注意を払わなかった領域をプライスが補完していたというわけだ。