カトゥロスが登場するハワードの作品は「スカルフェイス」以外にもある。ヴァルーシアの大王カルを主役とする"The Cat and the Skull"がそれだ。ただし「スカルフェイス」のカトゥロスが"Kathulos"と綴られているのに対し、"The Cat and the Skull"のカトゥロスは"Kuthulos"となっている。実は"The Cat and the Skull"でも最初は"Kathulos"だったのだが、ハワードが綴りを変更したらしい。
"The Cat and the Skull"はまたの題名を"Delcardes' Cat"という。人語を話す猫が少女デルカーデスのもとにいるという噂を聞いて興味を覚えたカルが、その猫に会いに行くが――という話だ。邦訳はないが、故ジャック清井氏のサイトで粗筋を読むことができる。
http://www4.airnet.ne.jp/pancra/conan/miya/delca.html
"The Cat and the Skull"におけるカトゥロスは七王国最高の碩学とされているが、ただの人間に過ぎない。ついでにいえば邪悪な人物でもなく、その後もカルに仕えていたことが"The Skull of Silence"で語られている。だが"The Cat and the Skull"には別の人物が登場し、カトゥロスになりすましている。カルの大敵たる魔道士タルサ=ドゥームである。ちなみにアーノルド=シュワルツェネッガーが主演した『コナン・ザ・グレート』の悪役もタルサ=ドゥームという名前だが、その元ネタになったのが"The Skull of Silence"というわけだ。
原作のタルサ=ドゥームは髑髏のような顔をした不気味な人物だが、これは「スカルフェイス」のカトゥロスと酷似している。あるいは現代まで生き延びたタルサ=ドゥームが再びカトゥロスと名乗ったのだろうか?
- 作者:Howard, Robert E.
- 発売日: 2006/10/31
- メディア: ペーパーバック