新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

同窓会

 ダレル=シュワイツァーに"Class Reunion"というクトゥルー神話短編がある。
 ジェフリーはマサチューセッツ州セイレムにあるオーン=アカデミーの卒業生。同窓会があり、久々に級友たちと再会したが、どうも変な感じがする。たとえば、何年も前に自殺したはずのやつがなぜ出席しているのか。自分たちが在学していた頃から校長がまったく歳をとっていないように見える。そういえば、自分は少年時代の記憶の一部が欠落している……。
 友達のヴィクトリアに誘われた彼は、立ち入りを禁じられていた学園の尖塔を彼女と一緒に登っていく。甦っていく記憶。学園の教師たちは生徒を生贄に儀式を行っていた。生贄はシュブ=ニグラスの落とし子を産むための器とされるのだ。今こそ落とし子の誕生するとき――いあ シュブ=ニグラス! ヴィクトリアの悲鳴が聞こえた。ジェフリーも悲鳴を上げたが、すべては遠い昔から決まっていたことであり、もはや逃れる術はないのだった。
 作者のシュワイツァーはラヴクラフト研究家およびダンセイニ研究家として知られる人物。前にも紹介したことがあるが、最近の編著としてはCthulhu's Reign がある。この"Class Reunion"も手堅くまとまった彼らしい作品だ。名前から見当がつくかもしれないが、オーン=アカデミーの創設者はジョゼフ=カーウィンとジェディディア=オーンで、彼らが滅ぼされた後も後継者たちが活動していたという設定になっている。
 なお、シュブ=ニグラスの落とし子を孕ませるのが目的であれば、ヴィクトリアはともかくジェフリーが巻きこまれるのはどうしてかと思われるかもしれない。だが生贄は男の子でも問題ないそうだ。これぞ邪神の力。

Cthulhu's Reign

Cthulhu's Reign