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使命召喚

 "Call of Duty"というクトゥルー神話TRPGのシナリオがデニス=デトワイラーのブログで無償公開されている。
Call of Duty(PDFファイル)
 元々はThe Unspeakable Oath の14/15号(1997年)に掲載された作品である。時は1925年、舞台となるのはロードアイランド州ダーバンという架空の地方都市。探索者たちは連邦捜査局の局員で、アントニオ=マルケージというイタリア系の老人と対決する。1925年といえば、インスマスの住民が一斉検挙される3年前だ。インスマス以外の場所でも当局と暗黒教団の戦いが繰り広げられていたという物語であり、言うなれば『デルタグリーン』の前史である。
 マルケージはマフィアの首領だが、実は密かにヨグ=ソトースを崇拝し、ヨグ=ソトース招喚の儀式を執り行うために中国から多数の人材を招聘している。顧問としてマルケージの組織に加わっているのがオットー=シュミット博士というオカルト研究家、そしてステフィアーナ=アルダーコットという謎の美少女だ。ステフィアーナの正体はナイアーラトテップなのだが、営業のためなら女の子にもなるというのは洋の東西を問わないらしい。
 "Call of Duty"自体は単純な話なのだが、マルケージの企てが失敗に終わった後、ステフィアーナとシュミット博士はニューヨークに移り住み、フェイトという秘密結社を創設した。第二次世界大戦後、フェイトは魔人スティーヴン=アルジスが牛耳るようになり、今日ではクトゥルー神話TRPG史上最強の組織として知られている。ステフィアーナ=アルダーコットとスティーヴン=アルジスは共に頭文字がS.Aで、姿を消したステフィアーナはアルジスとして戻ってきたのだとデトワイラーは暗に匂わせているとダニエル=ハームズは指摘している。*1