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ラヴクラフトの差別発言

 id:SerpentiNagaさんのTwitterから。


 これを受けてサミュエル=ラヴマンが書いたのが、『真ク・リトル・リトル神話大系』の8巻に収録されている「金とおがくず」である。実際に読んだことのある方ならわかるだろうが、百年の恋も冷めるという感じの文章だ。ラヴマンがラヴクラフトからじかに差別的な仕打ちを受けたことはなかったはずだとピーター=キャノンらは指摘しているが、ラヴマンにとっては伝聞だけでも充分すぎたのだろう。
 念のために書いておくが、ラヴクラフトはソニア=グリーン宛の手紙でラヴマンの文才を高く評価しているのである。ラヴマンがユダヤ系であることが「深大な学識と教養」と矛盾しているというのは、軽い冗談のつもりだったのかもしれない。そうだとしても、差別される側であるラヴマンにとっては由々しき裏切りだった。差別というものについて考えさせられる事例である。