新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

クトゥルー新世紀余話

 森瀬繚さんのブログで予告されていたとおり、*1クトゥルー新世紀」に関連する投書がSFマガジンの2010年6月号に掲載されている。

S-Fマガジン 2010年 06月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2010年 06月号 [雑誌]

「広大無辺な宇宙全体から見れば人類など無に等しい存在である」という思想はダーレスの作品中にも見られると森瀬さんは指摘しているが、その一例としてはReturn to Walden West が挙げられる。ダーレスの代表作Walden West の続編に当たる本だが、そこで彼は次のように述べている。

私たちの多くにとって、星々は眼にとまることなく輝いている。私たちの眼は地べたを、自らの足許を向いており、天空を見ていないのだ。金星や木星といった夕方や明け方の星、春に昇るアルクトゥールス、夏の夜の南天に熾火のごとく輝くアンタレス、高みをよぎっていくオリオン座、冬の空から青白い眼で見下ろす大犬座──ことごとく見えず、知られざるものである。地球から四方八方に際限なく広がっている広大な虚空は精神世界の内側の虚空と同様に認識されず、底知れざるものである。私たちは塵であり、果てしない虚空に浮かんで無限へと突進する少し大きな塵に住んでいる。それなのに私たちは自分らのことを神々と考えている。虚栄に目がくらんで己の進路に破壊をもたらしているのだ。

「私たちは塵であり、果てしない虚空に浮かんで無限へと突進する少し大きな塵に住んでいる」という箇所だけ抜き出せば、ラヴクラフトの言葉だと誤解する人がいるかもしれない。だが実際にはダーレスの言葉である。