新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

冷たき刻印

 ラムジー=キャンベルのクトゥルー神話短編集Cold Print があらかた未訳のままになっているのは残念だが、その内容は湖の隣人の小屋で窺い知ることができる。この本にはグラフトン版とヘッドラインの増補版があり、さらに新版を出す計画もあるらしい。*1

Cold Print

Cold Print

 序文でキャンベルは次のように語っている。

ダーレスが世を去ってからというもの、幻想文学マニアの嘆かわしい一派が彼を貶めるために精魂を注いできた。ダーレスがもはや反撃できなくなるまで待っていたことや、表面上は他の話題を扱っているエッセイにしばしば中傷を紛れこませる手口を見れば、彼らの誠実さと勇気の程は推して知るべしだろう。私に関していえば、ダーレスはこの上なく頼もしく辛抱強い人で、もっとも支えを必要としているときに励ましてくれる存在だった。それだけでなく、私がダーレスに送ったラヴクラフト作品の焼き直しを激励に値するものと彼が認めてくれたことを思い出すと、私は前にも増して感銘を受けるのだ。

 私はCold Print を読もうと中古のペーパーバックに2000円出したのだが、この序文を読めただけでも元が取れた気分になっている。