また、筆者も好きなグラーキやイゴーロナクなどを輩出したラムゼイ=キャンベル(読みたいけどどれも未訳。なんでじゃ!)に「既存のアイデアに頼らず、独自の道を模索しなさい」とアドヴァイスしたことから(あのダーレスが!)、文才や人を見る目はちゃんと備えていたようで。
FROM GALAXY EAST ダーレス!
ラヴクラフトはダーレスの作家としての力量を非常に高く評価し、ロバート=ブロックの面倒を見ることを彼に依頼している。ブロックの指導を任されたダーレスがラヴクラフトに報告を行った1933年7月3日付の手紙がEssential Solitude に収録されているが、そこでダーレスは次のように述べている。
私の助力が役に立ったとブロックが考えてくれているようで何よりです。目下のところブロックは模倣に流れがちで、最近も「アウトサイダー」のあからさまな模作を書いたばかりですが、そういうことはさせないようにするつもりです。また、うまく扱えるようになるまではクトゥルー神話も使わせません。ライトはクトゥルー教に関して良作ばかり採用するとは信用できないからです。
おまえが言うなと思った人もいるだろうが、少なくともラヴクラフトはそうは思わなかったに違いない。「河より吹く風」のような作品もダーレスは書けるのだということをラヴクラフトは知っていたからである。ちなみにラヴクラフトはアルフレッド=ガルピンとロバート=バーロウの指導もダーレスに頼んだことがある。二人は「ラヴクラフト・サークル」でも指折りの秀才だったが、ダーレスは歯に衣着せぬ態度で彼らの作品の問題点を指摘した。結局、バーロウもガルピンも作家ではなく学者になったので、ダーレスの見立ては正しかったことになる。
Essential Solitude: The Letters of H. P. Lovecraft and August Derleth: 1926-1937
- 作者: David E. Schultz,S. T. Joshi
- 出版社/メーカー: Hippocampus Pr
- 発売日: 2008/08/20
- メディア: ハードカバー
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