新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

ラムレイ神話の世界

 ブライアン=ラムレイのクロウ・サーガは六部作ということになっているが、実のところ第4部と第5部にはタイタス=クロウは出てこず、その間はアンリ=ローラン=ド=マリニーとハンク=シルバーハットの二人が活躍する。つまりクロウ・サーガの主役はクロウ一人ではなく、クロウを始めとする複数の人物である。
 また、ラムレイはクロウ・サーガの他に幻夢境シリーズを発表している。これはクロウ・サーガと同じ世界観に基づいて書かれたクトゥルー神話作品で、デイヴィッド=ヒーローと放浪者エルディンの幻夢境における冒険を描いた三部作である。クロウ・サーガと幻夢境シリーズをひっくるめて九部作と呼んでも差し支えないだろうと思う。
 もちろんクロウ・サーガには六部作以外にも『タイタス・クロウの事件簿』がある。幻夢境シリーズにも短編集があり、長編三部作+番外編1巻という構成になっている。さらに太古のティームドラ大陸を舞台とした物語もクロウ・サーガや幻夢境シリーズと密接に関連しているので、正伝と外伝を合わせると全部で十数巻に上る。ともあれ根幹となる九つの長編を大ざっぱながら時系列に沿って並べると、次のようになる。

  1. 地を穿つ魔(クロウ&ド=マリニー)
  2. Spawn of the Winds (シルバーハット)
  3. タイタス・クロウの帰還(クロウ&ド=マリニー)
  4. The Clock of Dreams (クロウ&ド=マリニー)
  5. In the Moons of Borea (ド=マリニー&シルバーハット)
  6. Hero of Dreams (ヒーロー&エルディン)
  7. Ship of Dreams (ヒーロー&エルディン)
  8. Mad Moon of Dreams (ヒーロー&エルディン)
  9. Elysia: The Coming of Cthulhu (全員)

 括弧内に記したのは活躍する人物である。完結編では主立った面々が時空を超えて残らず登場し、もはやクロウ・サーガというよりはスーパーラムレイ神話大戦である。

ランドルフ・カーターがイレク=ヴァドの王で、エティエンヌ・ド・マリニーがそこの貴族になっているというのは嬉しかったです。

〈月出ずる彼方の土地〉

 ランドルフ=カーターはクロウ・サーガでは顔見せ程度にしか出てこないが、幻夢境シリーズでは自ら空中戦艦に乗り込んで邪神と戦う。100%の力を発揮したカーターはクロウをも上回り、ラムレイ神話の世界における最強の人間といってよい。