真の一流
ロバート=ブロックは語る。
1925年から36年までがウィアードテイルズの黄金期であり、同誌の最高の作家たちが全盛にあった時期でした。それ以前には大したことは起きていませんし、それ以降のウィアードテイルズは重要な作家を二人しか輩出していません──フリッツ=ライバーとレイ=ブラッドベリです。ですが、その12年間にウィアードテイルズは幻想文学に不滅の足跡を残したのだというのが私見です。しかしながら、後年のウィアードテイルズで初めて登場した作家たちを語る上で僕が使った「重要」という言葉をきちんと定義させていただきましょう。大勢の優秀な作家がいましたし、その人たちは傑作を書いています──ですが、他の作家たちや幻想文学そのものに彼らの創造的なアプローチが影響を及ぼしたという意味では、ライバーとブラッドベリのみが重要なのです。「重要」という言葉をこの定義で使えば、黄金期のもっとも有名な作家ですら重要でないことがあります。ダーレスは編集と出版の仕事で幻想文学界の偉人となりましたが、僕の知る限り彼の幻想小説は誰にも影響を及ぼしていません──そして僕の作品も及ぼしていません。僕の小説を真似したがった人なんていませんからね。
Robert Bloch -- Interviews -- Flanagan Interview
言うなればライバーとブラッドベリは真の一流であり、ダーレスとブロックはその段階まで到達できなかったわけである。ところで、そのライバーとブラッドベリに影響を及ぼしたC.A.スミスはさしずめ超一流といったところではないか。
またスミスといえばクトゥルー神話の最重要な魔道書の1つ『エイボンの書』の創案者だが、その『書』自体を創ってしまおう(!)というリン・カーターの遺志を継いだロバート・M・プライスの編纂による『クトゥルフ神話カルトブック──エイボンの書』の邦訳が昨年出たばかりでもあり(新紀元社)、ここにきて密やかなる再々評価の機運かも?
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本当にそうだとすれば、こんなに嬉しいことはない。「夢の皇帝」スミスにもっと光が当たることを切に願う。