C.A.スミスに宛てて書いた1934年2月11日付の手紙*1でラヴクラフトは「サドクアの猫」に言及している。
あなたが仲良しの猫たちの姿を描写してくれたものですから、私はすっかり魅了されてしまいました。漆黒で沈鬱なシマエサと、無骨で好戦的なタバスコ将軍の写真を見たくてたまりません。シマエサはヒューペルボリアやアヴェロニア地方の伝統魔術を真に継承するものに違いありません──サドクアの神殿を守護していた猫たちに似ていますし。サドクアの猫は不死だという評判で、新月の晩に決まって行方をくらますことがアヴェロワーニュの伝説ではたいそう有名です。
サドクアというのはツァトゥグアがフランス風に転訛したものである。アヴェロワーニュではローマ時代からツァトゥグア崇拝が行われていたらしい。
ラヴクラフトもスミスも自分たちの小説でサドクアの猫を使おうとは考えなかったらしく、くだんの手紙に言及が見られる程度に過ぎないが、リチャード=L=ティアニーとグレン=ラーマンの合作「シェイラ=ナ=ゴグの婚礼」(The Wedding of Sheila-Na-Gog)ではサドクアの猫たちが活躍する。この短編は若き日のシモン=マグスを主人公とするヒロイックファンタジーで、初出は『クトゥルーの窖』(Crypt of Cthulhu)の29号である。現在はケヴィン=オブライエンのThe Crypt of Cthulhu Archiveで無償公開されている*2。またWorld of Cthulhu 3のアヴェロワーニュ特集ではサドクアの猫も紹介されており、その能力値は以下の通りである。
STR 2D3 CON 3D6 SIZ 1D3 INT 2D6+6 POW 2D6+6 DEX 2D6+24