新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

暗黒の嗤い

ラムジー=キャンベルにThe Grin of the Dark というクトゥルー神話長編がある。2008年度の英国幻想文学大賞を受賞した作品だ。私が買ったペーパーバック版の表紙には「あなたが目覚めているうちから悪夢を見させる術をキャンベルは心得ている」というロ…

木蓮林の家

Zombies from the Pulps!: Twenty Classic Stories of the Walking Dead というアンソロジーが今年の2月に刊行された。Zombies from the Pulps!: Twenty Classic Stories of the Walking Dead作者:Shanks, Jeffrey発売日: 2014/02/12メディア: ペーパーバッ…

スパゲッティを嫌う男

"Spaghetti"というクトゥルー神話中編をブライアン=ラムレイが1985年に発表している。神話作品に麺類が出てくる時点で嫌な予感がするが、とりあえず読んでみることにした。 物語の舞台となるのは1977年のロンドン、語り手は英陸軍の退役少佐だ。階…

取り替え子

昨年、Fearie Tales: Stories of the Grimm and Gruesome というアンソロジーが出た。題名からわかるように、グリム童話をモチーフにした恐怖小説のアンソロジーだ。編者は世界幻想文学大賞を3度も獲得したスティーヴン=ジョーンズ、表紙絵と挿絵は映画『…

イブ=ツトゥルを崇めよ、選択は無意味だ

ジョン=タインズといえばゲーム界の大御所だが、彼がブライアン=ラムレイへのオマージュとして書いたクトゥルー神話短編"The Nullity of Choice"がSingers of Strange Songs に収録されている。イブ=ツトゥルを崇拝する男による猟奇殺人を描いた作品だ。 …

深きものどもの幼形成熟

深きものどもの血を引く人間が歳をとると、インスマス面と呼ばれる独特の容貌を呈することが知られている。フレッド=ラブナウ博士によれば、これは決して病的な現象ではなく、むしろ深きものどもの生活環の一部と見なすべきだそうだ。 ラヴクラフトの「イン…

リッサの鉄棺

リッサの鉄棺というのは人間を鉄の棺に閉じこめ、蓋を押し下げることによって圧死させる装置なのだが、この処刑器具を題材にした短編をダーレスが書いている。そのものずばり"The Coffin of Lissa"という題名で、ウィアードテイルズの1926年10月号が初…

レムリアにおけるシュブ=ニグラス信仰

houseofthenecromancer.blogspot.jp Zaronoという人のブログ。この絵はシュブ=ニグラスを描いたものなのだが、添えてある話が興味深い。 かつてレムリアの地ではシュブ=ニグラスが崇拝されており、森にはシュブ=ニグラスの落とし子が棲んでいた。信仰の見…

アーカムハウスの元編集長が死去

ピーター=ルーバーが3月6日に亡くなったそうだ。ジョージ=バンダーバーグが追悼文を書いている。 R.I.P. Peter Ruber (1940-2014) | The Batteredbox's Weblog ルーバーはジェイムズ=ターナーの後釜としてアーカムハウスの編集長を務めた人物。若い頃は…