新・凡々ブログ

主にクトゥルー神話のことなど。

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

何がクトゥルー神話作品なのか

クリス=ハローチャ=アーンストのA Cthulhu Mythos: Bibliography & Concordance はおびただしいクトゥルー神話作品を索引化した労作だが、アーサー=マッケンの「パンの大神」が載っていない。「パンの大神」にはノーデンスへの言及があるのだが、ハローチ…

触手なマフィア

Hardboiled Cthulhu にティム=クーレンの"Eldritch Fellas"が収録されている。 昔はよかったなあ、大勢の信者が崇めてくれたしさ――そんなことを考えながら、大いなるクトゥルーは今日もマフィア稼業に精を出していた。舎弟のツァトゥグアを引き連れて借金を…

風より生まれて

ブライアン=ラムレイに"Born of the Winds"というクトゥルー神話小説がある。1976年度の世界幻想文学大賞の候補になった作品なのだが、題名から見当がつくようにイタカの話で、しかもスティルウォーターとその周辺が舞台という直球勝負の内容だ。 "Born…

好古家の姪

バーバラ=ハンブリーに"The Adventure of the Antiquarian's Niece"という短編がある。Shadows Over Baker Street に収録されている短編で、当然ながらシャーロック=ホームズの活躍するクトゥルー神話作品だ。幽霊狩人カーナッキも出てくる。 バーンウェル…

私はぼんやりとそれをポケットに突っ込んだ……だが何ということだ、エリオット、それは実物の写真だったんだよ!

えらく長ったらしいタイトルだが、これはジョアンナ=ラスのクトゥルー神話短編の題名である。原題は"'I Had Vacantly Crumpled It Into My Pocket...But by God, Eliot, It Was a Photograph from Life!'"といって、ラヴクラフトの「ピックマンのモデル」か…

ナイトランドとデルタグリーン

「ナイトランド」創刊の報に接したとき、思い浮かべたのが「デルタグリーン」だった。というのも、私に「デルタグリーン」のことを教えてくれたのが「ナイトランド」代表のエドワード=リプセットさんだからだ。 もう何年も前のことである。当時は関連書籍の…

新宿クトゥルーミーティング

「ナイトランド」の創刊を記念し、来る4月4日に新宿のロフトプラスワンでイベントがあるそうだ。すでに予約の受付が始まっている。 時空を超越し、数多くの創作者を漆黒の深淵に引きずり込んできた「クトゥルー神話」を、様々な角度から検証し大いに語る、…

クトゥルー神話とウルトラマン

ジェイムズ=ウェイドに"Those Who Wait"というクトゥルー神話短編がある。異界へと通じる門を開いて旧支配者を復活させようという企てを阻止するべく、ミスカトニック大学のアーリン=スターンズ教授と学生たちが戦う話だ。だが教授たちの奮闘も虚しく、と…

クトゥルーと暗号

ブライアン=ステイブルフォードにThe Cthulhu Encryption というクトゥルー神話長編がある。エドガー=アラン=ポオの創造した名探偵オーギュスト=デュパンが活躍する作品だ。語り手は「モルグ街の殺人」や「盗まれた手紙」と同じくデュパンの無名の友人。…

モートンという男

ラヴクラフトのジェイムズ=F=モートン宛書簡集がアマゾンで注文できるようになっている。Letters to James F. Morton作者: H P Lovecraft,David E Schultz,Author S T Joshi出版社/メーカー: Hippocampus Press発売日: 2011/10/18メディア: ペーパーバッ…